魔法少女育成計画「赤」感想

登場人物SD絵紹介ページ

 死人が最後の方にまとめられているのは分かっても憑融組が6人色分けされているのは初見の時に気付けず、後からプシュケも憑融されていた事実に衝撃を受けた。

 憑融は魂を入れると赤で明記されたことで肉体的な死であっても魂的な死ではないと分かり一先ず安心したのも束の間、「寿命が極端に縮む。それらは些細な問題だ」は些細な問題とは思えずスノーブラックが姫河小雪を抱えてる挿絵には息を飲まざるを得なかった。魔法少女育成計画はシリーズ通して洗脳の味に飽きない美味しさがある。

 

ライトニングとアーデルハイト

赤 p.19

「この子は……殺さないで、いい。私……が、勝たないと──」

 心湧いた台詞。白で「早く逃げなさい」と忠告し、赤で「この子は殺さないでいい」「私が勝たないと」と拘っていた相手が自分を守り、自分を信じて、目の前で死なれたライトニング(❤9)の表情と感情は計り知れない。それでも推測するなら「勝ち逃げされた」かなと思うものの、全然別の感情の可能性も十分ある。計り知れないからこそ「背負ったライトニングがどんな顔をしているのか見ることができない。それが最も大きな心残りだった。」のアーデルハイトの最期の地の文に共感を覚える。

 アーデルハイトが死亡したのは本当に悲しくて、読み進めている最中は往生際悪く「生きてないかな……」と生存を期待していたけれど、作中で3回アーデルハイトが死亡したことを念押し(カナの魔法確認、報告、最終章のメピス視点)されたことで本当に本当に死んでしまったんだな……とがっつりへこんだ。

 でも、悲しさと同じくらい痺れる気持ちも抱けたので、死亡して悲しい止まりではなく死亡して悲しいけどかっこよかった……!と心に強く刻まれた。いつかライトニング(❤9)視点でアーデルハイトについて語られる描写が読みたい。

 

カナ

赤 p.21

「触れるな下郎」

 短編とQUEENSの電子版あとがきでラツム様がどういう人物像か既に描写されているのに、それでもこのシーンには驚かされた。ブルーベルの前例があるため。そして直ぐにカナはカナと分かって安心。コミカル描写として使用されていた漫画台詞引用が本人証明に活きるの良い。

 併せてエネルギー問題の原因が赤序盤で判明。グリムハート(王権の象徴)とプク・プック(神性の象徴)が元ネタ通りと捉えた場合、カナことラツムが自分達こそ消え去るべきだと思い悩んでいたことを考えると「将来の受難である死の象徴」で東方の三賢人に当て嵌まってるとも見受けられる。一作目序盤の増えすぎた魔法少女を半分に減らす発言の建前は土地の魔力が枯渇するからってファヴが考えたであろう嘘(土地の魔力って概念自体は本当っぽい)だけど、エネルギー問題がこの作品の大きな根底部分だったことを考慮すると一作目序盤の嘘が核心部分に触れてるの趣深い。

 グリムハートとプク様との相対的な好印象抜きでもカナはクラスメイト想いのかっこいい現身で、上に立つ者としては電子版あとがきに書いてある通り弱い面が玉に傷だったかもしれないものの、倫理観に違和感を感じる人達が目立つ中で徹頭徹尾まともさを感じる心強い存在だった。

 

出ィ子とプシュケ

 比較的あっさり退場してキャラ単体で見れば物悲しいけど誰もが劇的に死亡できるとは限らないからこそ誰がいつどうやって死ぬか分からないドキドキ感が存在してる訳で、このドライさとエモい死のバランスと塩梅が一番性に合うと再認識。出ィ子とプシュケはクリスマス短編で描写量が少し増え、ねむりん然りラピュ然り本編で退場したキャラが短編で補われる感じもまた作品の特色だと感じる。

 

ピティ・フレデリカVSオールド・ブルー

 規模は変則的且つ多発するアルティメットプリンセスエクスプロージョンの見目の派手さの下で針の穴を通すような打ち合いと情報処理をこなす初代の化け物っぷりと、シリーズ通して散々活躍してきたプキン剣を含む手札の数でキャパ越えを狙い攻め落とすフレデリカとの対決に魔法少女同士の超常バトルと能力バトルの旨味を存分に堪能できた。この直後にカナとも戦いフィジカル面での頂上決戦が始まるテンポ感も良い。二代目然りレーテ様然り負けた方の格も高かったと感じさせる戦闘描写が本当に上手い。この戦闘を筆頭に、孫を失った過去、一人一人の⚡を愛でている上で駒として使い捨てる心のぶれなさ等々の今まで不明瞭だった初代の人物像とバックボーンが一部明らかになって自分の中で格段に株が上がった。

 

オールド・ブルーについて

restart(後)p.161

 残った勝者は記憶を書き換えられて「通常の魔法少女試験を突破した」という偽りの記憶を持って魔法少女となった。

赤 p.95

 十年以上、彼女の心は血を流し続け、まるで止まることを知らない。

 クラムベリーの事件発覚前から怒りや悲しみを原動力にしている描写を見るに初代にはアカネのように曖昧にしろそうでないにしろ最初の試験の記憶が残っていたように見受けられる。何故クラムベリー存命時に直接復讐しようとしなかったのか実は暗に動いていたのかまだその時点では実力不足だったのかは不明。

 本質を見抜く魔法で記憶を何やかんやして忘れずに若しくは思い出せたのか、アカネのように強い憎悪を持っていたから記憶を保持できたのか。後者ならそれほどまでにオールド・ブルーにとって孫は大事な存在で、失った悲しみと怒りは並大抵ではなかったことが窺えて今までの「いざとなれば身内を切り捨てる底知れない強者」という印象から「孫想いのお婆ちゃん」という情報も重なり何とも言い様のない切ない気持ちになる。フレデリカがスノ育でいっていた「大人で魔法少女になれてしまう稀有な人材は、非常に優れた才能を持っていることが多く」は魔法少女になった時からご高齢だったはずの初代の強さ的にその言説通りだったと思える。才能だけでなく文字通り血の滲むような努力もあって超魔法少女的身体能力の持ち主と打ち合える実力になったんだろうなと。

 

ビリジアングリーン

 遺跡の苔でビリジアングリーンってそういうこと!?になった。マジカルダンジョンバスターズのゲームやりたい。

 

テティとメピス

赤 p.257

「ほら」

テティのミトンを握り、これではどうも感触が悪いとミトンの中に手を入れてぎゅっと握った。

 初読時にぼろぼろ泣いたシーン。

 テティがメピスに手をきつく握ってもらって登校していた時期が「小学校低学年」なのと、魔法少女歴が4年(黒 p.71)=魔法少女になったのは小学3~4年生の頃のはずで、魔法少女の魔法は本人の精神によって決まることが多いと公式で言われているのを加味すると幼少期のメピスの行為がテティの魔法をグッと握る魔法にした、及び魔法少女名自体にも影響を及ぼした可能性は十分にあり得そうで、その上でかつて助けてくれたメピスをその魔法によって今度はテティが助けたと考えるとフレデリカは「テティのミトンに偶然守られ命を繋いだか」と捉えていたけど例え偶然でも因果を感じる偶然。

 そのテティのミトンで命繋いだ上での「それ、飲まないほうがいいんじゃないか?」がブチ上がる。メピス以外の二班は全滅したけど皆誰かを守っていて「気合。なめられるな。二班」の通り全員最後まで最高に気合の入った班だった。

 

クミクミ視点(第九章)

 ページ数で言えば3ページくらいの文量ながらも赤で一番印象深い視点。最初はホラーに感じたクミクミ視点が懸命にクラスメイトを助けようとするクミクミの思考で徐々に涙腺にきて、最後の文章を「魔法少女は奇跡を起こしてなんぼだ」で締めて実際にやり遂げたの心熱くなる。章題が二年F組なのも熱い。

 クミクミとリリアンが全体に抗えたのは同化直後且つ二人で一つになれば強いって発想とクラスメイトを思い遣る気持ちと二班としての気合って精神論と魔法少女ならではの奇跡に加えて組み立てる魔法と繋ぐ魔法を持つ存在同士だから合わせれたって論理的というかマジカル的な解釈も可能なのも好き。

 

ピティ・フレデリカ

limited(後)p.39

「君子は豹変すという言葉を知っているかね?」

赤 p.157

「君子は豹変すというでしょう」

 地味に好きなリマインド描写。黒の背負うシーンや白の狼には狼云々の漫画台詞が今作で活きたり、フレデリカの最期が無印ラストとスノ育ラストの意趣返し的結末だったのもしみじみするものがある。「勝っても負けても喜ぶことができる得な人」とFANBOOKの遠藤先生コメントで言われていたフレデリカが喜ぶことができない完膚なきまでの「負け」で退場したの気持ちいい去り方でした。

 フレデリカが倒された時が一番「一区切りついた」と感じ入り、今後フレデリカ以上の相手が登場するのか不安にもなる。眼球コレクターや爪コレクターが出たとしてもフレデリカを越えれる気がしない。そう思える程に愛着の持てる存在だった。

 

スノーホワイトリップル

 スノーブラッドになったことも含めてスノーさんの物語は赤で終わったと読み終えた時は捉えていたけど、スノーホワイトの物語は終わったがスノーブラッドの物語はまだ描写されるって頓智の効いた展開になる可能性も十分あり得そうで今の所そこら辺はどうなるんだろうなあという認識。どうなるんだろう。今後のシリーズの挿絵でスノブラさんのビジュアルが公開されたらうおおおおとはなるけど。白と黒のコントラストに比重を置いていたアリスからしたら複雑ではあるかもしれない。兎の足が赤でも空気だったのはもうスノ育で役割を終えたってことなんだろうか。

 スノーホワイトの物語は無印第一章「ブラック&ホワイト」から始まり、最後の戦いの終わり方は意趣返し的決着且つ黒(メピス、リップル)&白(カナ、テティのミトン、スノーホワイト)で最後のスノブラ視点の白黒魔法少女も赤最後のファル含めて見事に黒&白で終わったと捉えると感慨深い。自分が贔屓目でエモい解釈を無理にしてるのか客観的に捉えられてるのか自分では分からないが少なくとも自分の中ではそう思う。白と黒できっと綺麗だから。

 

今後の魔法少女育成計画

 赤発売前はシリーズ自体が終わる可能性に緊張していたものの、「魔法少女育成計画という大きな物語がまだ終わったわけではありません」と公式で明言されて作中でも続きそうな気配は十分に感じ取れたので、今後も更なる飛躍を夢見ることにした。朗読劇第3弾やrestartアニメ化楽しみにしてます。

 

学び舎の感電者

 田中愛染さんのファンゲームです。エンディングは全部で9個。おまけでアーデルハイトのゲームもあります。

 ロードが完了すると黒い画面が表示され続けるので、その画面をクリックするとゲーム起動。

スマホ、全画面でプレイする
https://html5.plicy.net/GameFilesUpdate/151463/0/

↓没ゲーム(二年F組体験入学)もおまけに収録

マジカル地獄バトル

■現在非公開

 「魔法少女育成計画」の二次創作ゲームです。

 朗読劇に登場した魔法少女達で全16回のボス戦に挑みます。下記リンク先にてスマホでもプレイ可。

 スマホマジカル地獄バトルをブラウザで遊ぶ

 

 以下素材をお借りしたサイト。

・BGM、SE

『ユウラボサウンド
『PANICPUMPKIN』
『ユーフルカ』
『PeriTune』
『DOVA-SYNDROME』

・敵グラフィック

『七三ゆきのアトリエ』
『モンスターフリー素材置いてる場所』
星乃だーつ

・背景

『七三ゆきのアトリエ』

魔法少女育成計画「白」感想③

魔法少女育成計画「白」感想① - マジカル自分用メモ

魔法少女育成計画「白」感想② - マジカル自分用メモ

 感想①、②の続き。第十章以降。②から間が空いたのは書いてる途中でどこの馬の骨とも分からない人の感想を誰が読むんだと気付いたから。でもこういうのは最後まで書いたほうがいいと思い立ちやっぱり書く。

白 第十章

 テティはメピスのように笑いながら敵を殴った。初めからこうしていればよかった。

白 第十章

 無心で戦うことができる、それはとれも素晴らしい。考えることが苦手なクミクミにとってこれ以上幸せなことはないだろう

※クミクミの好きな物:じっくり考えること

白 第十章

 リリアンは満足し、微笑んだ。クラシカル・リリアンという生き方はやはり間違っていなかった。

白 第十章

 出ィ子はメピスに向かって口だけで作った笑みを見せた。普段のメピスなら腹を立てていたかもしれないが、今は余裕をもって笑いを返してみせた。お前の性格はなんにも変わってないな、という思いを込めたつもりだった。

 むごい。まほいくの洗脳で情緒掻き乱れるの一度や二度ではないけど、白は存在そのものが覆された後で解除しても元通りじゃないのと、仲直り→中庭のコンボに5人は笑顔でそこに一切の抵抗の余地はなく、第三者が抱く無情さに反して当事者は幸せを感じてる両極性と心情表現で唸らされた。

 メピスが一時的に正気の時の思考回路で「アーデルハイトはどうしているのか」「カナは無事なのか」と思慮を巡らせてる最中に思考が塗り潰される描写はまさにまほいくの味わい。シャドゲの「胸をちくりと刺したが、モニターで踊っているプク・プックの映像が、今すべきことを思い出させてくれた」然り、チェルシーの「シェパーズパイのことを思い出してしまったせいで心が沸騰しそうになるも、すぐメリーによって覆い隠された」然り。もう違う存在にされちゃったのがここ読んでると嫌でも痛感させられる。

 中庭の5人がフレデリカの魔法では死亡判定で初代の魔法では出ィ子の状態を把握し切れてないのは肉体的な死であって魂の死ではない証明になり得るんだろうか。感想①にも書いたけど結局ここら辺の解釈はハルナがいう「記憶や自我」に魂が含まれてるか否かによる。

 

白 第十章

「無事でしたか! 他の皆さんは」

 カルコロが最後まで言い切ることはできなかった。笑顔の魔法少女の後ろからまた新たな人影が、その後ろからまた一人、と続々現れた。

 JOKERS第四章のシャッフリン再登場に喜ぶフィルルゥを彷彿とさせる場面。バフ有りハート9一人でも強かったのに複数人だととんでもなく厄介そう。アルティメットプリンセスエクスプロージョンできたらもっと怖い。

 

白 第十章

 以前、プク・プックが占拠していた遺跡で戦っていた時とは違う。

白 第十章

 フレデリカは地下研究所ではスタンチッカを通して彼女を見ていたし、遊園地ではリップルを通して見ていた。

白 第十章

 かつてB市全域に使用され、フレデリカを含めた魔法少女が閉じ込められた不可視の結界があった。

 改めて読むとlimited、JOKERS、ACES、QUEENSの本人しか知り得ない話に触れることで読者に今戦っているのは過去作から登場しているピティ・フレデリカ本人と誤認させるミスリード全開の戦闘だった。このミスリードが後のアルティメット爆誕でのどんでん返しに効く。「怒り狂う、というのは、つまり注意力を失う、ということだ」はこの作品がいかにシビアかを顕著に表現されてる文章。

 ブレンダがくらったバターナイフ刃、元々レーテ様が勝手に命名したあのバターナイフ剣と同一の物(or素材)って認識でいいならいろんな人の手に渡ってるなあの剣。ブレンダの死因に関わる武器が刃って悪い回合。

 

白 第十章

「最高の仕事をしてくれましたね……あなたを弟子にして本当によかった」

 「認められること」が好きな上で最後に認められて笑顔で事切れたのは過去作の死よりは比較的報われてる方とはいえ、本人は四代目になりたがっていたのに死ぬことが役割だったのは悲しすぎる。「後で迎えに来ます」はランユウィの死体を後で弔うつもりの発言? 倒れてるランユウィが視界に入ったライトニングもいただろうに、誰一人近寄ってないのがもう愛染さんと他個体の決定的に違うところ。

 「先生はここに残るの? つまらないわ」の口調的にも攻め込んできた相手的にもここで初代と会話している部下達はライトニングな訳で、「好き勝手なことをしていた部下達が」と態度を見る限り自由奔放で涼しげな面は共通してそうだけど、初代の会話を半数は聞いてるのかいないのか怪しい描写的にシャッフリンと同じく数字とスートで若干の個体差があるなら例えば♥3と♠のエースライトニングはどんな感じなのかジョーカーはいるのかいないのか気になる。アイデンティティが確立しているのは愛染さんだけなのかもしれない。

 メルヴィルが二代目に対して「なにかあった時の生贄羊」と推察してたのはランユウィの死を組み込んだ計画と未来視に近い死相見抜きを鑑みるに当たっていてrestartの時から人物像が決まっていたと認識した。初代VS中庭の音楽家の対峙に期待。

白 第十章

 この学校を埋め尽くすだけの人数が用意してある。どれだけ消耗しても終わらない。

 単純に数の多さを指したと捉えれるのと同時に「どれだけ消耗しても終わらない=ジョーカーの能力で復活できるから」って意味合いにも見えて、もしその能力が発動した場合、田中愛染さんがどうなるか疑問でJOKERSのシャッフリンだと「不足分を補充」とある上でフィルルゥが縛ってた個体も消失してるから従来のジョーカーと同じく生きてても死亡しても足手まといはリセット仕様だと生死関係なく能力発動でもう愛染さんではない❤9個体が生み直されるとしたら恐ろしい。仮にジョーカーがいたとして決定版なら一体とは限らないのも絵札とエースの脅威度もUPEの有無も愛染さんが生き残る未来が見えないのも後何人死ぬか分からないのも怖い。シリーズ毎に登場する魔法少女の平均生存率が3割以下の作品なので二年F組の未来を心配せざるを得ない。

 

白 第十章

「……アーデルハイト」

「なんや」

「悪いことはいわないわ。早く逃げなさい」

白 第十章

 刻印されたハートの9.聞こえてくる足音。なにかを理解し、しかし咀嚼できない。アーデルハイトは足下のライトニングを凝視したまま、動けずにいた。

 足音が近付く。複数いる。すぐそこまで来ている。

「あら、こんにちは」

 白で一番びっくりした所。えっ!??ってリアルで声出た。黒時点でラズリーヌ陣営による特殊な存在なのは察せてもこれは完全に予想外。入学時の出席番号が変身前後で両方9番目なのは狙ってるんだろうか。二年F組が大富豪やってた頃どういう感情だったんだ。出自が判明した今だとカナに誕生日は分かるか聞いてるのは魔法の効力を確かめるのとは別に自分がいつ作られたか知らないから知りたくて聞いたように見える。

 田中愛染さんがいつ何で変わったかの解釈、三代目曰く勝手な動きは潜入後からしてるのと自分が量産品って記憶を失う前後で心境の変化はあったかどうかとカルコロ先生が抱いてた印象のように黒前半+短編の時とは違うのと正体に繋がる記憶が無い上で自分が特定の時期から変わった(変わろうとした?)ことを自覚していて、不自然な回復を仮に入れ替わりとしてもそれがその場凌ぎか永続的かどうかまでは分からず、最初から特別ななにかになりたいと思ってたのか学校生活での感化か入れ替わりか記憶が機転か現段階だと判断難しい。黒のあのアーデルハイト戦で吹き飛ばされた後にシャップリンセスにしかできないこと(一番有力なのは入れ替わり)をしたのは確定だと思うけどだとしても、という話。

 プリンセス・ライトニングは学校を埋め尽くすだけの人数がいてもしジョーカーがいるなら一人一人が戦力的に替えの利く存在でも創立祭をやりたがって変わったと言われて嬉しがってオリジナルの必殺技名を考えてこの状況で忠告してくれるライトニングは♥9だけと考えると生き残ってほしすぎる。

 白の愛染さんは食いしん坊マイペース美人なのは相変わらずだったけれど黒と短編の時と打って変わって明確に協調性があるのとランユウィ退院、テティメピスの歴史的和解での反応でクラスメイトへの関心が読み取れるのと自陣営の意向に反してるっぽいのと喜んだり怒ったり目輝いたり分かり易く感情が出ていて、アーデルハイトとの戦いは恐らく数字が持つ本来の実力以上(バフ、魔王塾流シャウト、任務に堅実な相手に一体一で戦いたいと思わせる)の結果で最終的に負けるも割と清々していて明かされる想いの内と早く逃げなさいと言ってる所で心痺れて最後の種明かしで衝撃受けて感情がライトニングに染まった。アーデルハイトとは同じ雷系でも所属陣営が完全に敵同士で容姿は洋と和の対で二人とも「非常識」「特別」に憧れて作中で殺し合って守って共闘してまた殺し合って他のライトニング達は敵を滅ぼせの命を受けてるのに逃げなさいと気遣う対でありつつ共通している敵対同心の関係好き。

 

白 エピローグ

「この前みたいに助けに行かなきゃ! うるるに続け!」

白 エピローグ

「お前らが私に勝ったらなんでもいうこと聞いてやるよ。お前らが私に負けたらいうこと聞けよ」

「なに? なにさせるつもりなのさ」

「フレデリカと縁を切れ」

 忙しいはずなのに魔梨華ようやってくれとる。それにしても本当に次の赤で全部終わる?と疑問に思わざるを得ない勢力図の情報量の多さ。スノ育が「魔法少女スノーホワイト物語のクライマックスを楽しむために絶対欠かせないエピソード」とあるからスノ育を想起する形でスノリプとフレデリカの決着が赤でつくのではと考えてるけど、遺跡とか二年F組とか初代とかライトニングとか生存組とか気になる要因多くて結末想像付かない。

 ダークキューティーは主人公(スノーホワイト)と絡んでもサリーと絡んでも宇宙実の仇という形でうるると接触してもどう転んでも美味しい存在だからパンダ没戦闘の時みたいに絶対近くに潜んでると思う。みっちゃんもアーネもお嬢もブレーキかけれる人が周りから誰一人いなくなったダーキュが一流の悪役としてどんな行動するか期待。兎の足の再登場と護の謎機械にもこっそり期待。

 

スノーホワイト育成計画

 彼女達の未来のことを考えているとなんて楽しい。

 その未来を見ることができないとはなんて悲しい。

 ここで御役御免になるのが私の運命だとしたら、これほど残酷なことはない。私は私の理想の魔法少女を作り出すという目的を半ばまで叶えたのに、最後まで拘わることなく途中退場する。悲劇だ。

白 エピローグ

 かつてピティ・フレデリカは考えた。自分は常に魔法少女の傍にいたい。魔法少女の成長を喜び、理想とする魔法少女の誕生を夢見、そのためには強大な敵として立ちはだかりたい。

limited エピローグ

 一緒に理想の魔法少女を目指しましょう。

JOKERS エピローグ

 彼女は嬉しそうに笑った。

白 エピローグ

 彼女は顔いっぱいに笑みを広げた。

 ついに未来永劫生きる存在になってしまった。恋々の矢刺されてハゲ(ナヴィ)に恋しないかな。フレデリカとリップル繋がりで締まるまほいくシリーズのENDとして、limitedの洗脳ENDとJOKERSのスタンチッカ正体バラシENDを後味が心抉ると表現するなら、対照的に白のアルティメット爆誕ENDは挿絵も相俟りフレデリカがまたやりやがった!って歓喜に近い感情を抱いた。

 

 白、中学生魔法少女達の仲睦まじい平和な日常と創立祭への積み上げを描写しつつ序盤にホムンクルスの耐用年数を開示したり幕間の戦闘や中庭の不穏さで気を緩ませず、八章から一気に崩壊して初の死者に今迄の死とは別定義の死もあって黒と短編の思い入れの分含め精神的ダメージ強いけど最初から違う存在だったテティ、憑融、死ぬことが前提だったランユウィ、佐藤さん、窃視はメイで防いでいた、ライトニング等後半の予想外展開の数々に打ち痺れて物話として面白かった。生きてる内に次巻が読みたい。楽しみと祈りと最後(スノーホワイトの物語)への覚悟を決めて赤に備えます。

魔法少女育成計画の重要な加筆・修正、未修正箇所

魔法少女育成計画の加筆修正Wiki - atwiki(アットウィキ)

 2022年8月時点で確認した加筆修正の合計は427箇所。その中から特筆すべき加筆修正を以下に記載。個別に確認したい場合は別途作成した上記wikiをご参照下さい。

 

クラムベリーが死亡寸前にたまを説得しなければと考えている

無印 p.253
初版:後悔がまず頭に浮かび、次に説得しなければと思い、その次に考えが進むよりも速くたまの魔法が発動した。
増刷:後悔がまず頭に浮かび、その次に考えが進むよりも速くたまの魔法が発動した。

 無印の加筆修正は第4刷~第11刷で確認可。無印以外の既刊は主に第2刷以降(restartの一部は第3刷以降)。

 

リップルの腕関連

無印 p.271
初版:右腕は肉と皮で辛うじて繋がっているといった有様で
増刷:左腕は肉と皮で辛うじて繋がっているといった有様で

limited(前)pp.142-143
初版:立ち上がった時には両掌一つずつ小石を乗せていた。右手の小石をぶんと空に投げ、あっという間に見えなくなると、続いて左手の小石を
増刷:立ち上がった時には右掌二つの小石を乗せていた。片方の小石を空に投げ、あっという間に見えなくなると、続いてもう片方の小石を

 

園田かりんの年齢

マジカルデイジー第二十二話 p.89
WEB:新人漫画家、園田かりん十八歳は首を捻った。
文庫:新人漫画家、園田かりん二十一歳は首を捻った。

 

アンナ・サリザエのペットがハツカネズミからハムスターに変更

チェルナー・クリスマス p.111
WEB:可愛いがっているペットのハツカネズミ
文庫:可愛いがっているペットのハムスター

 

人物の名前誤字まとめ

limited(後)p.99
初版:魔法パムさんが助けてくれたんでしょうか
増刷:魔王パムさんが助けてくれたんでしょうか

limited(後)p.20、21(2)、82、88、115、141、172、JOKERS p.108 魔王塾主催地獄サバイバル(特典→文庫)p.185 
初版:下剋上
増刷:下克上

breakdown(前)p.189
WEB:七夜小鳥は変身が解除された時と同じように
文庫:七谷小鳥は変身が解除された時と同じように

breakdown(後)p.277
WEB:♢七夜小鳥
文庫:♢7753

breakdown(後)p.391
WEB:小野寧々
文庫:尾野寧々

 未修正範囲だと「マジカル・ワンダー」「パトシリア」「茶藤(さいとう)」、他の誤植は「×ベルっち ○メルっち」「×羽菜 ○マナ」「×アンブレンとレディ・プロウド ○シャッフリンとグリムハート」「×プフレ ○フレデリカ」「×うるる ○プク」「×マナ ○うるる」「×サリー ○リリアン」。

 

有無をいわさず幸子を袋の中に放り入れるスノーホワイト

ACES p.201
初版:うるるが幸子を立たせ、スノーホワイトが有無をいわさず幸子を袋の中に放り入れて駆け出した。
増刷:うるるは幸子を素早く立たせ、スノーホワイトはそれを確認すると、先頭に立って駆け出した。

 

女子大学生魚山護

ACES p.210
初版:女子大学生はおっさんではないが
増刷:女子高校生はおっさんではないが

 

作詞もしたことになってる音楽家

とっととミュージック p.43
初版:マジカルデイジーオープニングテーマの作詞作曲をやったのは森の音楽家クラムベリーだって
増刷:マジカルデイジーオープニングテーマの作曲をやったのは森の音楽家クラムベリーだって

 

袋井真理子の教員免許の更新

Primula farinosa p.125
初版:免許があれば損にはならないだろうと思い、とりあえずで取得、その後十年で更新するために講習や試験まで受けた。だが案に反して免許を持っているせいで損をしていた。やりたくもないことをやらされている。
増刷:免許があれば損にはならないだろうと思い、とりあえずで取得したが、案に反してそのせいで損をしていた。やりたくもないことをやらされている。

 旧免許状の規定を鑑みて削除したと見受けられる十年更新描写。今年の7月1日付けで教員免許更新制が廃止になって結果的に時代に合う形になった。

 

7753が今まで出会った魔法少女の数の詳細

ゴーグルと亀 p.13
WEB:7753の職歴の中で出会った魔法少女凡そ五百名。その中で人間以外から変身した魔法少女は三名しかいなかった。
文庫:7753の職歴の中で出会った無数の魔法少女の中で、人間以外から変身した魔法少女は三名しかいなかった。

 

魔梨華の初出時の名前表記は「魔莉華」

魔王を討伐したいから p.57
WEB:花売り少女袋井魔莉華
文庫:花売り少女袋井魔梨華

 

クェイクの子供への思いがマイルドに修正

三角形の彼方 p.99
WEB:道を歩けばついつい子供に目を奪われうっとりと眺めてしまう不審者だ、とはいえない。
文庫:道を歩けばついつい子供に目をやってしまう準不審者だ、とはいえない。

三角形の彼方 p.99
WEB:クェイクは子供を貴いと思っている。テンペストに対しては敬意を抱いてさえいる。相手が真剣ならばこちらも真剣に対応しなければならない。しかしよりにもよって恋愛相談とは。
文庫:「小学生で恋愛なんて十年早いよ」といえればどれだけ楽だろう。だが、しかし、テンペストの真っ直ぐな目を見たままそんな言葉を口に出せるなら、クェイクはもうクェイクではない。

 

茶藤千子と南田翔の出会い方が大幅に変更

 WEB版ではふらつく翔君に速度があるトラックが近付きそれを千子が助けているが、文庫では千子が朱里に気を取られている内に翔君と出会う展開に変更。

 

トットポップに対するプク・プックの評価

三姉妹育成計画restart p.149
WEB:全力でお話をするだけだから
文庫:お話をするだけだから

 limited(前)電子版あとがきで「トットポップはある短編において偉大な魔法少女から「特異点」と呼ばれるシーンがあったのですが、その台詞は最終的に削られてしまいました」に該当するシーンは恐らく上記短編の会話付近。

 

凄腕スナイパー気分のうるる

三姉妹育成計画restart p.159
WEB:やはりこれがあるのと無いのとでは気の入りようが違う。ソラミは玩具と馬鹿にするけれど、これだって立派な武器だ。なんとなくテンションが上がったうるるは背中の銃を素早く抜き放ち、本物の銃のように構えた。
凄腕スナイパー気分で引き金を引く。コルクの飛び出る音は、なかった。
文庫:うるるは背中の銃を素早く抜き放ち、構えた。

 

楽家の「は?」

魔王塾主催地獄サバイバル p.162
特典:「名前は?」
「は?」
「技の名前はどうした?」
文庫:「技の名前はどうした?」

 

breakdownの経過日数

 WEB版ではチェルシー到着と魔力枯渇事件と門への探索が同日だったのが、文庫ではチェルシー到着の翌日に魔力枯渇事件が発生。シェパーズパイ君が目覚めたのは更にその翌日の朝となり、ドラマCDのように幕間の話が生まれやすくなった。

 

マイヤの死体に対するマーガリートの扱い

breakdown(前)p.210
WEB:マーガリートは死体に剣先をかけ
文庫:マーガリートは死体にをかけ

breakdown(前)p.211
WEB:剣でステッキを弾いて拾い上げ
文庫:ステッキを拾って

 

書き下ろしられ子視点

 breakdown(前)pp.257-261とpp.507-510で追加。ずっとマイヤさんが死んだことを考えている心情が描写された。

 他のbreakdownの書き下ろしはプロローグ、マーガリートから見たマイヤ強者評、戦闘シーン、アンナマリーのビジュアル&魔法&戦闘スタイル等、クランテイル視点、ナヴィ視点、ラギとサタボーンの思い出話、マーガリート視点、7753視点、マナ視点、ネフィーリア視点、描き下ろしの内容に合わせた会話の追加。

 

損得勘定"でしか動かない”られ子

breakdown(後)p.191
WEB:損得勘定で動くことができるられ子だからこそ
文庫:損得勘定でしか動かないられ子だからこそ

 

空中回転ねむりん

 Σのマジカル肝試し p.41 5行目から13行目にかけて、テンションが上がったねむりんの追加描写。

 

ウミヘビに噛まれるウィンタープリズン

 Σの魔法少女vs.鮫 p.107 5行目から11行目にかけて、ウィンタープリズンが引き千切った触手がウミヘビに変化して噛みつき、毒で意識と思考が乱れる追加描写。

 

スノーホワイトの髪色がアニメ寄りに変化

スノーホワイト育成計画 p.206
特装編集版:ルバーブロンド
文庫:ストロベリーブロンド

 スノーホワイトの髪色の変遷は以下の通り。

未修正箇所まとめ

restart(前)p.186 最新版数:第8刷(2016年11月15日)
「で、マジカル・ワンダーは岩で頭を潰されていましたよね」

restart(前)p.234 最新版数:第8刷(2016年11月15日)
「そっちはそっちでゲームのクリアを目指してください。と、ベルっちはいってるっす」

restart(後)p.132 最新版数:第8刷(2016年11月15日)
記憶復活装置と記憶回復装置の表記揺れ

limited(前)p.184(後)p.97 最新版数:第5刷(2016年10月4日)
コーキュートスとコキュートースの表記揺れ

JOKERS p.132 最新版数:第5刷(2016年10月4日)
倒してから数日から

監査部門の妖精 p.215、216 最新版数:第4刷(2016年10月4日)
パトシリア

青い魔法少女は忙しい p.268 最新版数:第4刷(2016年10月4日)
見に纏った

オフィシャルファンブック p.55 最新版数:第1刷(2016年10月1日)
根村佳代 中学3年生

オフィシャルファンブック p.62 最新版数:第1刷(2016年10月1日)
茶藤 千子(さいとう ちこ)

QUEENS p.56 最新版数:第1刷(2016年12月24日)
うるるは装置を動かすことができればいいの……

※プク様の一人称がうるる

QUEENS p.227 最新版数:第1刷(2016年12月24日)
スペースのエース

QUEENS p.234 最新版数:第1刷(2016年12月24日)
マナも知っている魔法少女だった(×マナ○うるる)

QUEENS あとがき 最新版数:第1刷(2016年12月24日)
時間をお待ちください

※恐らく「次巻」の誤字。

黒 p.269 最新版数:第1刷(2019年10月24日)
ぶくつさ

黒 p.135 最新版数:第1刷(2019年10月24日)
サリーと連携して(×サリー○リリアン

breakdown(前)p.132、293 最新版数:第1刷(2021年3月25日)
下剋上羽菜

breakdown(前)p.321 最新版数:第1刷(2021年3月25日)
小野寧々

女王と探偵のティータイム感想

 昨日(6月8日)の10周年当日、JOKERSの電子版あとがきで語られた遠藤先生の宿願がついに果たされました。まさかのネタがあったのは後述するとして、まず触れたいのは今回の主役の一人であるグリムハート。

 我儘、よく怒る、部下を蹴る殴る叩く、泣きながら許しを請うテンペストの首を刎ねよと指示。初出のJOKERSでの傍若無人っぷりは凄まじく、後に登場するレーテ様との比較も相俟って、決して嫌いではないけれどアクスタのような選ぶ機会では候補に挙げ辛い、今まで自分にとってそんな立ち位置だった。

 ただ大前提として、FANBOOKと電子版あとがきで語られているように、グリムハートの欠落している部分は過去に何かあったとか環境とか本人の性格とかオスク師の魂由来とは関係なく、エゴイストが「知性」「神性」「威厳」「人格」「とにかく様々なもの」を犠牲に生み出した純然たる被害者で何があっても心が折れないように「作られている」(態々鍵括弧で強調されてる)のは忘れてはならない。これを踏まえるか否かで節々の描写で受ける印象は大きく変わる。

p.27

 男達は肉食獣の群れを思わせる動きで包み込もうとするが、人数を増やしても触れることができない。

p.28

 一応鼓動もあるし、呼吸もしているようだ。

 無礼者でしかない一般人には手を出さず(ディティック・ベルのような思い遣りではなく単に「相手にしてない」だけだと見受けられる)、ミスティルージュへの攻撃は殺害には至っていない。石を投げれば山が砕ける程の現身の破壊力で放たれた平手打ちで死亡しないのはミスティルージュの耐久度若しくは愛への執念もあるかもしれないけど、ここは「手加減した」と解釈。

JOKERS p.373

 グリムハートは怒り狂った。

 ハートのエースを蹴り、殴り、文机に顔面を叩きつけ、壁に向かって投げた。原型が留まっているあたり、意識せず手加減したのだろう。まだ理性は残っている。

 その証拠に本編の怒り狂ってる時ですら手加減をしている。とにかくプクに対抗できるのであれば邪知暴虐の王であっても構わないように作られた存在でありながらこのように最低限の寛大さが宿っているのは魅力の一つと認識しています。幼少期のラギが見た本来のオスク師(降霊した御霊)は穏やかで気品溢れて優しい人物らしいから魂由来なんだろうか。

p.6

 グリムハートは別にレーテのことを嫌っているわけではない。彼女は常に一歩下がってへりくだり、グリムハートを立てている。

 自分の方が強いのに自分より劣ってるレーテが評価されてることに苛立ちつつ、それはそれとしてレーテは嫌いではないから当然本人に当たる訳にもいかずこうなったら凄い体験談を聞かせて関心させてやろう!の思考回路好きです。意外といえば意外だけど、「礼儀知らずは相手にしないよ」は裏を返すと礼儀を重んじている人は相手するとも捉えれるので、レーテ様のように礼儀を弁えて成果を収めてる人物に対しては一定の評価をしているの人物像通りに思える。

pp.11-12

「クビヲハネヨ」

「すいません、意味がわからないのですがどういうことなんでしょう」

「そういえばそうであった」

「うわっ、びっくりした。普通に話せるなら初めからそうして……」

 ここ好き。JOKERS初登場時のクビヲハネヨ連呼もうっかりしてたんだろうな。こういう思慮の欠如こそ作られている所以なんだろうなと。

p.25

 人間だ。本来なら魔法少女の相手ではない。だがこの部屋、この霧、魔法がかかっている。心拍数が上がる。動悸に息切れ、身体が火照って上手く動かない。いっそ男達を受け入れてしまえば、などという不穏な考えが頭によぎる。

 話題の軸を短編の本筋に移して、ミスティルージュの魔法はどうオブラートに包んでもセンシティブに配慮してもエッチで桃色だと思わざるを得ない。エッチすぎる。

 元ネタは間違いなくあれで、10周年のタイミングにやるネタかとツッコミもさることながらやっぱりエッチすぎるとしか思えない。だってこれはもう何といっても……エロい。ディティック・ベルの貞操は無敵の女王によって守られましたが本編で結局お持ち帰りされたので因果が収束した。

p.26

 男達の声はどこまでも楽しそうだ。全く楽しくない。楽しくないはずなのに、内側から「楽しもう」という思いが湧き上がる。抵抗する力が弱まる。身を委ねろとなにかが叫ぶ。ベルは必死で暴れようとするが、相手は人間だ。全力で振りほどいては怪我をさせる。いやこれも自分に対する言い訳なのか。思考が桃色に侵されていく。

p.26

 ベルは歯を食い縛った。私は探偵だと肉体に言い聞かせる。

 もはや作品の特性といっても過言ではない絶対的な洗脳は実際はその魔法と相手によって千差万別ではあるものの、強力な作用という点では一貫しており、恐らく例外ではないミスティルージュの魔法にこれだけ抵抗し、己を鼓舞するディティック・ベルの意思の強さは本人の最期も踏まえて流石だと感心した。作中で確認できる範囲では非常識な人物が多い魔法少女において常人寄りに思えるけど、半裸の男性達の肉波をかき分ける姿をモーセの海割りで例える感性はまさしく焼死体を鎌倉ハムステーキ程度の焼かれ具合と例えたそれで、やっぱりちょっとイカれてる部分あるよなとは思う。一応試験で「襲撃しようと計画」と黒い部分もある。その後の情けなさもまたベルっちっぽい。

 

 意外な人物の意外な活躍と展開とエッチでてんてこ舞いな短編、大変面白かったです。今の所ラツム様がカナとあまり変わりないように見受けられて、そういえば電子版あとがきで割と常人寄りと語られていることからも、もしかしたら人格的に大きな変化はないのかなと希望的観測をしてる("カナ"が好きなので)

 10周年記念短編第一弾ということは第二弾にも短編が……?と期待し、今後の展開を引き続き楽しみにしています。改めまして、10周年おめでとうございます。

今まで書いた記事まとめ

情報

魔法少女育成計画の初版から増刷時に修正・変更された箇所

遠藤浅蜊先生について(お仕事情報)

・物知りみっちゃんの魔法一覧

・英語版limited(前)と原作の比較

・まほいく名字の由来と世帯数調査

・まほいくイメソンのメモ

魔法少女育成計画の呼称描写まとめ

・「16人の魔法少女たち」感想、元ネタ考察

・「黒」の呼称描写まとめ

・アーデルハイトの関西弁

魔法少女の尻尾描写メモ

・物知りみっちゃんの原作と英語版の魔法比較

・クランテイルさんの動物変身記録

・まほいく技名一覧

・breakdown(前)のWEB版から文庫版への加筆・修正箇所

・breakdown(後)のWEB版から文庫版への加筆・修正箇所

スノーホワイト/姫河小雪の容姿、コスチューム原作描写メモ

魔法少女育成計画の重要な加筆・修正、未修正箇所

 

 

再現

魔法少女育成計画に登場する食べ物を実際に再現して食べる

魔法少女育成計画に登場する食べ物を実際に再現して食べる②

 

感想

1話~14話までのbreakdownについて - マジカル自分用メモ

最終局面を迎えたbreakdown - マジカル自分用メモ

「聖夜の魔法少女ども」の思い出 - マジカル自分用メモ

breakdown18話感想 - マジカル自分用メモ

breakdown19話感想 - マジカル自分用メモ

魔法少女育成計画episodesΔ感想 - マジカル自分用メモ

「16人の魔法少女たち」感想、元ネタ考察 - マジカル自分用メモ

魔法少女育成計画「黒」感想 - マジカル自分用メモ

breakdown20話感想 - マジカル自分用メモ

「二年F組弁当合戦」感想 - マジカル自分用メモ

魔法少女育成計画breakdownを読み終えて - マジカル自分用メモ

書籍版 魔法少女育成計画breakdown(前)感想 - マジカル自分用メモ

書籍版 魔法少女育成計画breakdown(後)感想 - マジカル自分用メモ

魔法少女育成計画「白」感想① - マジカル自分用メモ

魔法少女育成計画「白」感想② - マジカル自分用メモ

魔法少女育成計画episodesΣ感想 - マジカル自分用メモ

アニメ「魔法少女育成計画」の各話感想と問題点と良かった所 - マジカル自分用メモ

女王と探偵のティータイム感想 - マジカル自分用メモ

魔法少女育成計画「白」感想③ - マジカル自分用メモ

 

ゲーム

雷将アーデルハイトVSプリンセス・ライトニング - マジカル自分用メモ

マジカル地獄バトル - マジカル自分用メモ