プリンセス・ライトニングについて

 出力したい感情、咀嚼する描写が沢山ですがといった前置きや導入は省き、先んじて白第十章のライトニングの衝撃の真実について。まほいく白読んでて一番驚いた内容、そう言い切る程にライトニングが「プリンセス」×「シャッフリン」のハイブリッド人造魔法少女だった事実が衝撃だった。

「気まずいと思うやろ普通は」

「どうして?」

「夜の学校でバチバチやりあったやん」

「そうだったかしら」

「ライトニングの頭ぶん殴ってノックアウトしたやん」

「私の記憶にはないけど」

 単純に忘れたふりをしているか記憶が抜き取られた影響かは、後の出ィ子とランユウィとの会話で負けを認めているので前者の線が濃厚。後者だとダメージをくらった直後の記憶は自分の正体に関わる情報だったから意図的に抜き取られていたとも解釈できる。

 同個体説を支持するとしたら決定版たる特殊な回復機能若しくはジョーカー的な存在が別にいてハートの9であるライトニングは遠隔からの魔力補給で復活した可能性もあるかもしれない。入れ替わり説も捨てきれない。

 決定版だったはずのプリンセス・ライトニングが、魔法少女学級潜入後に勝手な動きを見せるようになった。

 ♥9ライトニングは以前と違い協調性を持ち始め、カルコロ先生の「あなたも変わりましたねえ」という台詞と前後の地の文からも分かるようにストレートな変化が読み取れる。ランユウィ退院とテティとメピス和解時のようにクラスメイトに関心があると分かる描写も含めて。

 これを学級潜入後の感化と自身の意思による変化(によって生じた他集団とは違う個体差、記憶の有無の影響)と見ていて、更に主張したいのは♥9ライトニングは他のライトニング達と明確に違う点があること。

「変わったってどんな風に?いつ頃から変わったように思ったの?いい意味での話よね?悪い感じではなかったし。どんな理由で変わったと思ったの?」

 矢継ぎ早に質問を繰り出してくる。感情を表に出すことが滅多にない彼女にしては珍しく、とにかく嬉しそうだ。

「特別な……なにかには……なれなかった」

 ここの台詞、アーデルハイトに影響受けてオリジナルの必殺技ばんばん繰り出したり「悪いことはいわないわ。早く逃げなさい」と別のライトニングから逃げるように気遣い忠告しているのはシャップリンセスの初期搭載個性ではなくアーデルハイトの必殺技を聞いた、学校生活を過ごした♥9ライトニング特有の個性と感情由来の行動だと思う。

 彼女は文字通りの商品だった。倫理観を狂わせた魔法使いが生み出したデザイナーチルドレン──ただただ美しくあればいいという目的で開発された愛玩用の人間だ。

 出自情報も衝撃。しかも"不適合"。この美しさで不適合。

 元々は愛玩用の商品で、平凡なことが嫌いで、そんな出自だからこそ「特別ななにかになりたかった」と今際に語っているのが心に刺さった。誰かに使われるだけの商品だったライトニングがラズリーヌの命令でもなくただ創立祭を楽しもうと努力する直向きな心はもう一人間としての立派な個と変わりない。

「口に入れて……」

「あれやろ。本当はもうちょっと余裕あるやろ」

 戦闘後のこの状況でも漫才が発生するのアデライすぎて笑いはしたものの、♥9ライトニングがこのまま息絶えてしまうのか心配。心配でいえばプシュケが、あの5人が、ランユウィ、今回はライトニングに的を絞った感想のみと決めているのでまた別の場所で諸々感想書く。

 今日の給食はローテンション的に揚げパンが出るに違いないと力説しているプリンセス・ライトニング

「ごめんなさい。食べないみたいだから必要ないのかと思って」

「給食の話はした?」

 飲食物を扱うべからずという一文にはプリンセス・ライトニングが平手で机をバシンと叩いた。

「どうせならラーメンの匂いもあれば素敵じゃない?」

「ねえ、良いこと思いついちゃった。ラーメンの匂いが難しいならバニラアイスの匂いならどう? たぶんラーメンの匂いよりも簡単だろうし、これなら洗濯物に移っても問題ないでしょう? 柔軟剤の匂いでそういうのもあるから」

 笑った所。めちゃくちゃ笑った。ライトニングずっと面白すぎると笑っていた後での上記情報量で痺れっぱなし。

 「プリンセス・ライトニングがいっぱいいるの最高!」って感情と「出自と特別ななにかになりたい願いを汲み取ればいっぱいいるの最高って安易に言うのは違うでしょ。絶対違う。解釈違いもいいとこだねえ」って舌打ち感情が鬩ぎ合う。

 大きな憶測を残したまま人物評を書き連ねたくないのでまた赤の機会に。漠然と特別ななにかに憧れを持つライトニングの目に映る魔王塾卒業生のアーデルハイトは雷共通点があるが故に自身と比べて自分とは違う"特別ななにか"と感じたのではないか、という矢印考察も含めて。白、最初に書いた通り出力したい感情、咀嚼する描写が多い。