魔法少女育成計画「黒」感想

魔法少女学級の約束
【服装】

黒 p.77

 魔法少女及び魔法の国に関わる授業は生徒も教師も魔法少女に変身して行われる。

 光景を想像するのが楽しい魔法少女授業。カルコロ先生が言う通り壮観な光景が頭に浮かぶ。スノーホワイト授業受けてる姿似合いそう。こうなったら7753も転校してきてほしい。

【礼儀、校歌】

黒 pp.4-5

・元気に挨拶しましょう。

・目上の人には敬意をもって丁寧な態度を心がけましょう。

・友達とは仲良くしましょう。喧嘩をしてはいけません。

 2番目と3番目がグリムハートとプク様に当て嵌まるため、消去法で1番目がラツム様に何かしら当て嵌まりそうな礼儀の項目。コミュニケーションに関わる魔法なのでは。

 

うるる

 無印 p.58

「剥き出しの刃物みたいな感じが昔の俺みたいだわ、リップルは。お前さん放っておくと危ないわ。放っておいたらマジでデンジャーだわ」

limited(後)p.62

 数年前のリップルがまさにこんな感じだった。昔の自分を見せつけられているようでやり切れない気持ちにさせられる。

QUEENS p.254

 捜査官として活躍する下克上羽菜の背中を見て「私もお姉ちゃんみたいにカッコ良い捜査官になるんだ」と父に話して喜ばせていた自分の姿が思い浮かんだ。

黒 p.23

 以前のうるるならば迷うことなく全てを口に出していただろう。今の彼女は成長した。他人を気遣い、慎重に言葉を選ぶようになった。

 「トップスピード→リップル→マナ→うるる」と尖った部分があった人物が成長して相手と昔の自分を重ねる描写が無印から続いていたので、うるるにも目に見えた成長の描写があったのが嬉しかった。A→Q時点で前進は見受けられるけど黒で明確に「成長した」と書かれたのが嬉しい。

 

袋井真理子

黒 pp.21-22

 真理子──魔法少女「袋井魔梨華」としては、できることならスノーホワイトに付き合いたかった、手伝うだけでも楽しそうなことなんて滅多にない、合法的に暴れられる大チャンスなのに、でも義理と人情に縛られていたらしょうがない、魔法少女きっての自由人袋井魔梨華ともあろうものが情けない、でもでも生徒達の顔を思い出してしまうとやっぱりできない、と次々に思いが現れては消えていく。

 「守るべきは守る」「繊細な目で他人を見ている」の通り、義理堅く多忙の中生徒にも気を配っていて教師が天職に思える。でも忙しいとはいえ二段飛ばしで階段を上ったりとアウトロー精神は健在でよかった。袋井真理子先生がいる高校生活は気が狂う。

 科学部の方々、袋井先生のような美人最強教師が顧問になったらそりゃ張り切ると考え掛けでも純粋に科学が好き故の頑張りの場合は邪推になってしまうので考え直した。いやでも絶対袋井先生のことで頭がいっぱいのモブ生徒存在するはず。ラッピーに鉱石を渡してくれた方の科学部でも声が大きいハツラツ女子にドキドキの生徒いるはず。魔法少女に心奪われる片想いモブ妄想止められない。

 

カルコロ

 亜柊雫、エルジーナと「魔法使いで魔法少女」の前例はある中、作中で両方の魔法を使ったのはカルコロ先生が初めてでデュアル対応な面かっこいい。

黒 p.271

私のせいじゃない! 私はなにもしてない!

 自己保護な面が目立つものの、実際この状況は本当に何も悪くなくて死体を発見した後の動きは事態の収束に直接繋がらなかったとはいえ的確さと迅速っぷりは上機嫌ハルナが称えていた通りナイスな行動だったと思う。そろばん走行には驚かされた。

 武闘派で周囲に気配っている袋井先生と頭脳派で自分のために平穏を優先するカルコロ先生は対比的とも捉えられる。親機の破壊に向かったのもプシュケ助けたのも結局は自分の責任問題にならないための行動だとしてもまず危地に向かう判断を即決してるのと授業の内容を強制されたり生徒が教師を敬ってなかったり怒られて胃を痛めたりしている中で教師の職務をこなしていて先生と環境のピースがずれてる印象が今のところ強く何やかんやで生徒のためになることをしているのと凄い人物ではあるから評価されてほしい。

 

二年F組

 軍装風の魔法少女が関西弁を使うなんてモヒカンの怖そうな生徒が比較的真面目だなんて悪魔モチーフの魔法少女がヤンキーオタクなんて想像も付かず、でも読み進めていくと脳に馴染んだ。

黒 p.306

 クミクミは泣きながら走り寄り、カナの腰に取り繕うにタックルし、カナ諸共に倒れ込んだ。言葉になっていない言葉を口にしながら泣き続けている。

 なにが起こったのかは相変わらずわからなかったが、まずは良かった、と思えた。カナはクミクミの背を撫でながら起き上がり、今度はメピスの体当たりを受けてまた倒された。

 好きなシーン。自分を庇って消えたカナのことが心配で堪らず見つかって本当に嬉しいクミクミの感情と声張り上げて報告して体当たりする程のメピスの喜びが伝わる。二年F組これからも学校生活を過ごしてほしい。一班で出掛けたり二班で野球観戦や作品トークしたり三班でサリーのアニメでの活躍を視聴したり皆で修学旅行に行ったりしてほしい。一炊の夢ほど強く願ってしまう。

 

デリュージ

黒 p.304

 三人の魔法少女は一斉に武器と拳を振り下ろした。三又槍の魔法少女が叫んだ。

「アルティメットプリンセスエクスプロージョン!」

 久しぶりのUPE熱い。アーリィが事前にデリュージの存在やUPEをドリィに説明していたとすると、喧嘩の理由の一つとしてそれが原因だった可能性。お前は何を言っているんだと。「マジデヤルノカ」という台詞が事前に話は聞いていた事の証明になり得ている。

 ドリィも入れてABCD魔法少女はデリュージ達を元に生み出された存在ならばUPEを放てるのも納得。ライトニングとラズリーヌの存在も含め、デリュージの今後の立ち回りに目が離せない。ダークキューティーもし登場するならスノーさんやサリーにどう接するのかも気になる。

 

三代目ラズリーヌ

黒 p.187

「師匠はさあ、あの子達が失敗してもいいように動いてるよね。いざやらかしても重要な情報が流れていかないようにしてるっていうかさあ、信用してないっていうかさあ」

 メルヴィルの二代目に対する「なにかあった時の生贄羊<スケープコート>を残したのではないか」が当たっているように感じる二人の扱い。自分の中でまだ初代の人物像掴み切れてなくて魔法少女を独自に育成している事と目的が描写されても今後どんな行動をするのか読めない。

 

闘争中学校 / 戦争中学校

黒 p.266

 いずれも強力な魔法少女ばかりだ。しかしテティは彼女達を打ち破る。将軍閣下を守るため、敵は全て排除する。

黒 p.286

 前には敵がいる。後ろにも敵がいる。味方は少ない。魔王塾生にバトルジャンキーは多いが、それでもこれで喜べるのはきっと少数だろう。

 戦闘の連続で緊張しながら読んでた。オリジナルに劣りホムンクルスの弱点があるとはいえ魔法少女の魔法を再現できるの革新的な技術の気がする。

 

黒 pp.293-294

「熱い! 熱い!」

「熱ぁぁぁ!」

 プシュケがそこかしこに霧状の白い液体を噴射、炎の勢いが瞬く間に収まっていく。最も強烈な一吹きが炎の塊を吹き消し、黒いフレイミィが悶え苦しみながら消え失せた。

 緊張しながら読んでいたのもあってここ笑った。フレイミィ、どんな姿になっても不遇な運命に終着する星の元で生まれたんだろうか。

 

 アーデルハイト vs. ライトニング 

 好対決。バーサス感溢れる挿絵良い。

 

カナとメピス

 カナの世界が広がっていくのと距離の縮まりと追いかけっこで読んでて笑顔になった。

 黒 pp.230-231

「世界が変わるんだよ。単に楽しいってだけの話じゃないんだ。クソみたいな世界の中で誰も彼も死んでしまえって呪い続けてたようなやつがさ、ほんのちょっとだけでも生きることが楽しくなってさ、この漫画の続きを読むまでは死ねないなんて思うようになってさ、今秋のあれすげー面白かったとかそういう話ができる相手も増えてさ、そりゃもう八割変わってるじゃん。いや八割どころじゃないかもしれない。あんたの人生どんなもんだったかなんて知らないけど、たぶんそんなに幸せでもなかったでしょ、ムショにいたんだし」

 実際に生きる糧になってる作品でこう話されたら同意せざるを得ない。遠藤先生のおかげで生き永らえている命なので。

 

 カナとメピスの生活想像するの本当に楽しくて読後ずっと妄想してた。カナとメピス、黒の中でも特に好きな組み合わせ。

 

黒の謎

・中庭とテティ

・カナ

・ライトニングが無傷

 中庭に漠然とした恐怖を感じてしまう。カナラツム説は割とあり得ると思ってる。ライトニングは……初代が魔法少女を独自に育成しているってあるからラズリーヌ陣営が関係してる?

 

スノーホワイト

 16人+αの魔法少女たち公開時はスノーさん大学生の可能性に驚いていたけど実際は大学生どころか中学校に転校だった。高校生が中学校に転校する作品初めて見た。

 

黒 p.74

「アーリィも、ブレンダも、キャサリンも、デリュージも、私も、魔法少女なんだよ。魔法少女は困っている人のお手伝いをしてあげるのも大事な仕事の一つなんだよ」

 今もスノーホワイトが初期の魔法少女像を保ってると分かる嬉しい台詞。現在のスノーホワイトは変わったし変えてるともいえて暗殺計画で描写されたように心の中に姫河小雪が居て朱里失って死体見た時に一瞬見える反応もうるるとのあの会話の時もそうで諸々抱えた上で魔法少女であり続けようと今もしてると読解。

 

 魔法少女の死者0人にフレデリカと初代の不穏な動きも相俟って今後がとても不安。みんな一体どうなっていくのか。久しぶりの新刊存分に楽しめました。祈りと続きが楽しみな気持ちで次巻を待ちます。