アニメ「魔法少女育成計画」の各話感想と問題点と良かった所
1話、2話、3話と感想を書き連ねる前に、先んじて幾つか触れたいアニオリについて。
トップスピードの遺体をベランダに運ぶリップル
制作現場でも多数意見が挙がったらしい(オフィシャルファンブック p.85)アニオリ。リップルの心情的にそのまま放置できないであろう見解から生じたこのシーンは夫こと室田昇一がつばめの正体に気付いているため、母子手帳で住所を特定し、玄関ではなくベランダという通常ならあり得ない場所に置いてノックすることで妻と同じような存在が運んだと察せる可能性は十分あるが夫が警察から犯人と疑われてしまう点でいえば釈然としない。リップルがトップスピードの遺体を放置するかの疑問に対する一つの解としてはアリだとしても、あえて描写しない選択肢もあったはずで、違和感が生まれることを厭わないで描写する程の重要性を感じられず良いアニオリとは思えない。
死者の幻影と会話
あまり好きじゃないアニオリ。
死後リップルに強く影響を与える程トップスピードの存在が大きかったのはlimitedと白と料理をするようになったことから明らかで、ただ一人だけいた友達を失ったばかりのリップルの精神状態で幻影を見ること自体は納得できる。たが「(旦那に)結局迷惑かけたまま終わっちまったよな」は幻影ではなく死者の魂そのもの寄りの内容になっているのがそういうのでお涙頂戴する作品じゃないだろうと憤りを感じる。別の作品の類似シーン(短い尺)で感動したこともあるので、端的に言うと尺が長いのが嫌。ファニートリックが自分の中の芝原海と会話する場面やマナが羽菜とマーガリートさんに肩に手を置かれる感触を感じる場面のような塩梅だったら良かった。
アニメ版シスターナナ
本当はどういう心情で自殺したかは原作を読もうの販促に繋がるとポジティブに捉え、内面が描写されなかったのは気にしないようにしてる。2巻ブックレットの「シリーズ構成の段階では、それ(シスターナナの内面)が描かれたエピソードが間に合ってなかったんです。もっと早く分かっていれば、そういう形にしたんですけど……原作者の遠藤さんから、ちらちらと「シスターナナは良い子じゃないですよ」とは言われてたけど、具体的にどう良い子じゃ無いのか分からなくて、描きようがなかったんですよね」のインタビュー内容に思う所はあるものの、令和の2022年に今更こんな所で文句垂れても仕方ないから特に何も言わない。だがもうなにもかも終わったことだ。
解釈云々でいうと小雪と芳子&スミレが仲良くないと解釈しているのは仲良くする時間が以前よりないって表現なら分かるんだけどなあPrimula farinosaで小雪の友達思いな描写あるのになあとモヤっとしましたが、これも今更言っても仕方ないから特に声を大にしていうことはない。アニメ版シスターナナやコミカライズ版ステレオタイプサイコスイムも媒体の違い認識。尺とか心情表現の落とし込みに対する不満は別媒体認識で隠忍自重してる。勿論良いに越したことはないけど。
スノーホワイトとハードゴア・アリス関連のアニオリ
スノーホワイトがハートゴア・アリスを呼び出す
↓
「わたしもね、一緒にいてくれる人が必要なの」「必要、ですか?」
↓
「うん、わたし弱いから。もう一人は嫌」
↓打ち解けあった後に原作のシーンに繋がる
「ついてこないで!」
改変によって酷く自分勝手な印象を強く与えることになったスノーホワイト。何故こうなってしまったかはオフィシャルファンブックp.17の監督の「この子はずるい子で、すごく自分勝手なところがあるんだよ」のような解釈の元に描写されたと推察される。
地下研究所で犠牲になる魔法少女の声を聴きながらそれを無視(インフェルノとデリュージが自殺的な行動に出てしまうことを防ぐため)したり魔法少女なんて関係ないもう知らないと堰を切る所は「自分勝手(思い遣り故の判断でも助けに行ける状況ではないから見捨てる選択を取って二人は知らなくていいと自己判断)」に当て嵌まるとしても、そんなスノーホワイトを「自分の損得の為にずるいことをする子」と描写するのは腑に落ちず、魔性の女という原作ワードに頼り切る訳ではないけれど自分が弱いからって理由でパートナーを作る立ち回りをしてなかったのにどうしてこの方向の「ずるい子」描写をしたのか疑問に思わざるを得ない。
アリスの最期の改変での「今すぐ病院へ」は病院を促すくらいなら変身を促してくれと傷が治るのが早いと教えられてる上での発言故に引っ掛かる。正直アニメ版の最期より原作の声を出す余力すらなく心の声で想いを伝える方が好きだった。無印は捉え方の一つとして魔法少女スノーホワイトの誕生編のような位置づけ(公式表現)ともいえて何もできなかった後悔が後のシリーズへと続く重大な要素とはいえ、10話の改変は一部から無能と揶揄される所以に大きく関わっているように思う。
「回想=死」の構成になっていた点
この構成の意図は、下記のようにまほいく制作舞台裏で語られています。
吉岡たかをさん:「考え方としては、シリーズ前半はなるべく死ぬキャラクターの特定に繋がらないようにしつつ、中盤以降はむしろ誰が死ぬかを宣言しちゃうような形にしています。中盤になるとキャラクターがどんどん死ぬのはわかっているので、誰が死ぬかよりどうやって死ぬかでハラハラさせたほうがいいと思いまして」
吉岡たかをさん:「先ほどの回想シーンにしても、それがいい話だとお客さんの思い入れも高まるので、その直後に殺すことで心にグサッと来る効果を狙ったりもしました」
橋本監督:「この作品ではそういう想いを持ってもらうことが大事で、表現として回避するわけにはいかないんです。キャラクターの死を悲しむ気持ちが、スノーホワイトの置かれた立場を理解することにも繋がるので。ただ、ここまでキャラクターへの愛の深い人が多いのは想定外でしたが」
遠藤先生の「魔法少女が死ぬときの意外性やハラハラした感じは、原作でも強く意識しているところです」を尊重して誰が死ぬか分からないハラハラ感を大事にしてもよかったのではと思う反面、原作通りの群像劇をそのままアニメ化した場合「なんか分からんけど1話でパジャマの子が死んだ」と印象を受ける視聴者を出していたかもしれず、アニメーション媒体だからこその工夫が必要で思い入れを持ってもらうことを重要視する判断は適切だったと心得ます。
しかしながら人が殺し殺されるお話である以上そういった内容が全面的に苦手な方に敬遠されるのは致し方ないとしても、心にグサッと来る効果を狙ったことにより悪趣味さを強く感じる視聴者がもしいるなら回想手法は正しいと一概に言えない。そういった視聴者には遠藤先生は「あくまで『結果的にひどい目に遭う』というのが好きで、最初からひどい目に遭わせることを目的としているような作品は好きじゃないです」の考えの元作品を手掛けていることは知っておいてほしい。ハラハラ感を保ちつつアリスや死者会話の改変を入れずに原作の良さを大事にした構成だったらどうなっていたか考えたくなる。
以降は声、各話感想。
声
東山奈央さんの公式インタビューと吉岡たかをさんのまほいく制作舞台裏談曰くテープオーディション形式で1役につき50人くらい(1巻ブックレットでは1キャラあたり平均80人くらいと記述)の音声データが16人分あったと聞きます。そういった経緯の元イメージに合う17名の方々が選ばれたことにしみじみする。オーディオドラマの方のキャスティングも良くて特に大森日雅さん演じるポスタリィの声は脳が痺れた。アニメ版のスノーホワイトの声もドラマCD版のスノーホワイトの声も両方好きです。キャラソンもいい。アニメ化するとキャラソンが聴ける期待もrestartアニメ化の願いに込めてる。
1話
冒頭(アバン)
鮮明な11話との比較。原作で12人だった犠牲者が24人と倍に。悪魔が召喚された経緯は「試験の能力テスト用に召喚した」となり、試験自体も魔法の国の住人云々は触れずに魔法少女の選抜試験(オフィシャルファンブック p.41)と明言されている。マーガリートさんとネフィのインタビューから分かるように昔の魔法少女選抜方法は集団を狙ったテロに等しく、アニメでは言及がないものの本来この犠牲者達はクラスメイトと語られることからクラムベリーもその例に漏れないかもしれない。
悪魔嫌いになったクラムベリーが現在悪魔(ホムンクルスのスラング)そのものになっているの不憫。
OP
ドヤ顔ルーラ→ジュピターキングプロダクション→ミナユナ画面切り替え→古株三人(クラムベリー、ねむりん、メアリ)でサビに入る流れ好き。アリスの瞳に吸い込まれる所ドキっとする。「壊してしまえ」でファヴが映るの初見の時笑った。このOPにインスパイアされて生まれたのが暴走するトップスピードに叫ぶリップルとマジカロイドの短編なの今思い出しても面白い。
人間態
話数が進むにつれて続々とアニメーションで見れるのが嬉しかった魔法少女とその人間態デザイン。殺し合わずに皆(13人)でプロゲーマーや親子関係やvになってる公式if世界線につい思いを馳せたくなる。亜柊雫さんと羽二重奈々さんの組み合わせ変身前後で身長差変わらないの凄い。
2話
あたふたま
かわいい。
ねむりんの死亡タイミング
アニメでは魔法の発動中に死亡した為、現実の肉体が死亡し、魂(夢の世界側のねむりんと表現した方が正かもしれない)だけ夢の世界に残留した経緯が分かり易い。原作で何故今のような状態になったのか詳細な説明はなく、希釈していってるのは読み取れる。restartアニメ化したらマスクド・ワンダーの活躍盛って回想入れて戦犯ねむりんの汚名少しでも塗り替わってくれないかな。
2話ラストの合歓母、放送当時の吉岡たかをさんツイート曰く吹き替えメインのベテランの方だけあって演技の迫力に心抉られた。
3話
「お弁当だー」「お"い"し"そ"う"」
ここ耳に残る。後の「やったぁ、やったぁ、やったったぁ!」も印象的。
4話
4話の作画修正(抜粋)
上の場面以外にも顔、靴跡、胸の皺、メアリの銃、首輪、陰影と修正多数。4話以降作画修正が目に見えて確認できるように。
5話
クラムベリーが手を口元に持ってくる癖
キービジュアルとOPでもやってる監督アイディアの仕草。インタビューでマルイノ先生もかわいかったと言ってた。
6話
ラ・ピュセルvs森の音楽家クラムベリー
原作で描写されなかった戦闘にも関わらずベストバウト人気投票で票を集め、遠藤先生コメントでも触れられていたかっこいいアニオリ戦闘。ビスケみたいに一発喰らってやる必要があったかはさて置き、無印アニメで特に印象深いシーンです。
6話の作画修正(抜粋)
別テイクであったらしいマジカロイドの「さよならー♪」ver.も聞いてみたかった。7話の肉片の黒塗り解禁や8話の上半身が吹き飛ばされてる一般人も含めてBD/DVD版はゴア表現マシマシ。
7話
7話の作画修正(抜粋)
ナナの掬い上げるみたいなポーズも修正。他と比べてトプリプは特に修正が多い。今のリップルは20~21歳でこの時の会話で明かされるトップスピードの年齢をもう上回ったと思うと切ない。二人でお酒飲んだり料理教わったり赤ちゃん抱っこして珍しくたじたじになったりする世界線を想像すると余計に。
8話
ウィンタープリズン追悼ライブ音楽家
ここ好き。どうやって山小屋にピアノ捻じ込んだのか。
9話
特に作画修正が多い回
8話Bパートのメアリに狙われてる際のジグザグ走行(TV放送版は直進で違和感)から地続きでガラスの破片やリップルvsスイムのもちゃっとしてた所などの主に戦闘周り。TV放送版の何も履いてない(ように見える)リップルも修正されてる。リップルの名誉のために画像は貼らない。
ハードゴア・アリスの人命救助
ヤクザキック何回も見たくなる。不器用ながらもちゃんと救えてて偉い。
10話
ハードゴア・アリスの最期
この話の放送後に前垢でマルイノ先生が投稿したスノーホワイトとアリスが向き合っている絵今も心に刻まれてる。兎の足、スノーホワイトの最後の物語に再登場してくれないかな。
11話
「負け犬が……」
原作初版~第4刷とコミカライズ版とアニメ版でそれぞれ最期の台詞と地の文が異なる音楽家。【2023/04/22追記】朗読劇を踏まえると本編で7歳の少女こと坂凪綾名をきっかけに動揺し(ミーヤと初めて会ったのは7歳)(本人曰く殺すのに年齢は関係ない)、落ちこぼれのたまに殺されたのは最初に立ち返った最期だと感じた。因みにコミカライズ版はスイムを生かして育てれば自分のようになるのではと思考している。そしてあの名台詞(墓穴)を言う。
戦闘に役立たなさそうな魔法が意外な方法、場面で役立ち番狂わせが起きるのはまほいくの魅力の一つですよね。ファニートリック然りチェリー然り。たまが音楽家を殺した事実結構凄いことなのに今の所教科書に載ってる気配がないのは無念。力量差を鑑みると100回戦っても100回勝てないような相手にシリーズで随一のジャイアントキリングかましたのはようやったよたま。
たまとルーラ
頭隠してたま隠さずモードかわいい。この時に見たルーラの冊子を参考に校外学習のアイディア冊子を作って絵まで描いたと読解。「友達だって出来た」のアニオリ台詞は話の流れ的にちゃん付け呼びもしているルーラを指しているはずだけど、11話放送時点で16人の日常は発刊済みで、解釈を原作まで広げるとここで言う友達は桑田千尋さん(+千尋さんの友達5人?)を指しているとも受け取れる。
笑顔のたま→泣きながら斬首で死亡している珠の死体のシーンは分かっていてもかなり心に傷を負う。桑田千尋さん視点だと珠の死亡と同時期に魔法少女育成計画のソシャゲが終了したことで何か関係があると躍起になっても結局何も掴めず、自分を守ってくれた「たま」の姿と友達として過ごした「犬吠埼珠」の姿を想うことしかできないのが辛い。
12話
リップルvsスイムスイム
日本刀、ルーラの刃、フリスビーみたいなのとヘッドホンの模様、脇部分が修正。
こっちがTV放送版の全体図。TV放送版でもここのカットはかっこいい。忍者とスク水が本気で殺し合うアニメは後にも先にもこの作品だけだろうなと思わせる唯一無二感がある戦闘。試験終了後は作中表現でいう「引退者」だったのにスノ育にlimitedにJOKERSにACESで本当に色々あった結果スイムスイム殺した時と同じように再び私怨で相手を殺そうと復讐者の行動を開始した("フレデリカの命を奪うべく")のは無印終盤を彷彿とさせる因果を感じる。スノーホワイトとリップルがどんな結末を迎えるのかドキドキしながら待ってる、赤を。
総評
前半に愚痴を書きましたが、様々なプロの方々がアニメ化に携わり動き喋って躍動するアニメーションを生み出していただいたこと、並びにキャラソンに商品展開に副産物の数々はファンとして大変喜ばしく有難いことであり、きっと何者にもなれない自分がそんな努力の結晶を批判するのは甚だおかしいことではあるものの、良い所は良い悪い所は悪いと自分の感性に従い捉えるのはファンで全肯定は別と噛み分けていてこの作品に対してはファンでありたいので否定と肯定の観点で感想を書いた所存です。全肯定を非難している訳ではない。
将来的に二期が作られると信じて夢見てる。今でもrestartがアニメ化して映像で動き喋り戦う魔法少女が見れて未判明の人間態デザインが知れてrestart勢の新規短編が読めてキャラソン聴ける世界線をこっそり夢見てる。
【2023/04/22追記】アニメ化決まりました。よかった。
魔法少女育成計画episodesΣ感想
主にアクリルスタンド、挿絵、カバー、加筆修正、クイーンズ・プレフロップの感想。
購入しに行ってセルフレジの順番待ち中に裏面を見たらイメージ画で笑った。カシキアカルクシヒメも応募可とは。初カラー神々しい。
アクスタは単体で好きな魔法少女、組み合わせで好きな魔法少女、三人組で好きな魔法少女、SD絵が好みの魔法少女、どれにしようか迷う。自分の中でチェルシーは確定として白で好き度が増したライトニングも入れたくてスノーホワイトとリップルも欲しいプフゲルラズベルレインポスグレファニも揃えたいスイムキークプシュケで水着魔法少女並べたい、と永遠迷ってる。
Σ賞一点狙いで締切ギリギリまで敢て応募しない手段もアリだろうかと考えたけど、当たればA賞B賞どちらも嬉しいので夢より確率を追い求めて4月末までには決めたい。
表紙に加えてカラー口絵と挿絵とあとがき絵も良かった。まずクミクミ変身前後どっちも可愛いなあ格闘計画で張り手してたナナこっちではスートの表情の違いあるなあカラー絵ハムエル良いというのと、後方レーテ様面が挿絵化されてよかったのと、絹乃宮さんの追体験ができる魚山護ガチ恋距離で学び舎の観察者挿絵化されてほしい期待に応えてもらって喜んだのと、最後のあとがき絵でハートキャッチされて絹乃宮さんビジュアル判明も特に嬉しいサプライズだった。
嬉しいサプライズその②。更に魔王パムの魔法少女歴がついに判明。時代観考察に役立つ(1860年に旧魔法少女が現役、無印(スマホが9割普及している時代観)の少し前の五十年前は現魔法少女である点から旧と現でその約100年以内に切り替わった可能性を見い出せる)。確かに宇宙開発の分野で活躍しそうな魔法でソニア戦の時に酸素内蔵スーツ纏ってたのは宇宙開発の経験由来なのかな。
中黒が二つの大人魔法使い、印刷・製本するために生まれてきたみたいな名前の魔法少女が初出。bdの強いらしいインタビュアーとかも含めてこういったビジュアル未判明の中からマイヤさんみたいに表舞台に立つ人物今後いるだろうか。スノーホワイトの物語が終わった後もまほいくの物語が続いていくとして、例えばマジカロイドが引いた未来のアイテムが登場する可能性あるのかも気になる。マジカルパワー増幅ピアスが特に。
今回の加筆修正の合計は大きく分けて16個。中でも一番印象的だったのはスノーホワイトの髪色を明示する「シルバーブロンド」が「ストロベリーブロンド」に変更された点で、無印の「プラチナブロンド」とアニメ版も加え割とスノーさんの髪色は流動的なイメージがあったので認識が最新寄りに変わった。
ここからクイーンズ・プレフロップについて。
何故プク様は本編で事前にシャドウゲールの魔法を知っていたのか、考えてみれば疑問に感じるべき点だった。この出会いさえなければQUEENSの死者は違う結末になってたのとタイトルでプク様が幸子とシャドゲの2枚を序盤で揃え後にオールインした事をプフレとトランプシリーズと絡めて表現してるの上手い。
「もしプフレが見誤るとすれば、プフレが見誤ることを良しとする相手ではないか」が本当にその通りで護だけでなくお嬢側も苦労してる見解更新があり、個人に関する記憶を失ったら廃人になったのも一人の為に改革しようとしていたのもお互いがお互いの人生を占めている原拠なんだよなと形容しがたい気持ち。端的に言うとチョコレートを食べに行かなければQUEENSで死ななかったであろうお嬢が作中で最後に口にした食べ物がよりにもよってチョコレート(QUEENS p.71)なの、単に好みで積極的に食べる機会が多いというのがあれど運命めいたものを感じる。
プク様は最後まで味方パターンがギリギリまで検討されていたボツ話今だと想像できなさすぎる。本来お嬢が電子の海に溶けるENDの予定だった後の魔法少女育成計画の物語の方がもっと想像できないけど……。
死の話題ではなく光の話題に切り替えて、プフゲル普段着食べ歩きデート最高すぎて光景を想像してたら口角上がりまくってた。当然デパ地下には一般人もいるから扮装してるとはいえ10人中8人どころか10人中20人は振り返るのでは(バグ)。護が買ってたお土産を渡す相手って人小路家のご家族の方々(兄を含む)や学校のお嬢様方(絹乃宮さんを含む)や尾野寧々さんや部門関係の方々(7753を含む?)かもしれないってこと!? なるほどね(?)。「かわいい妹からのプレゼントだよ」「買ったの私じゃないですか……」って二人がやり取りしつつ兄にお土産のチョコ渡すシーンを妄想してます、いま。
Blu-ray/DVD特典短編はアニメに季節設定を寄せている(時系列的な相違は問題ない)旨、了解です。アニメ化するとそういった短編が生まれるなら、limited短編で絶対にあり得ないかおたつバレンタインが描かれる可能性だってあるかもしれない。limitedまでとはいかずともrestartアニメ化は今も夢見てる。
これは自虐でも悲観でもなく、事実として現実とネットは広大で自分より上手な感想やファンアートがいっぱい存在するはずで先生が感謝していた中に自分が含まれているなんておこがましいことは思っていませんが、先生がファンレターや贈り物含むファンから生まれるものに感謝しているあとがき文は嬉しかったです。今後ともご健康を祈りつつ応援しております。
魔法少女育成計画「白」感想②
感想①の続き。
カナとメピスの同居生活の期間は臨時休校+スノーホワイト転校後から10日経っている+作中時間経過を足して計算すると半月以上。幕間というか何というかこういう作中で実際にあり得る範囲でどんなことがあったか想像するのは楽しい。「俺はラーメンなるものを初めて食べた」=メピスはカナにカップラーメンを出したことはなく一応カナが料理していた時もあったのでインスタント系はあまり食べなかったのでは──といった想像をするのが楽しい。
第六章以降の感想を書き連ねる前に白の田中愛染さんは新鮮な一面がいっぱい見れて嬉しかった話を。揚げパン力説、お見舞い、給食の話はした?、平手で机をバシンと叩く、匂いもあれば素敵、歴史的和解を見逃して後悔。どれもよかった。ライトニングを筆頭にメピスとドリィも見解が大きく変わった人物。リリアン、出ィ子辺りもそう。本編一冊分の内容を読めばそりゃ人物観は更新される。
白 第六章
まだ新人の頃にクラムベリー事件の調査を命じられ、目を覆いたくなるような惨劇をいくつもくつも目の当たりにした。生き残っていればきっと大成したに違いない綺羅星のような魔法少女達が、戦闘能力と小賢しさだけに長けた連中の犠牲になった。
調べれば調べるほど憂鬱になる事件だった。出世の足掛かり程度にしか認識していなかった調査班での毎日は、魔法少女について考え直すきっかけになった。
白 第八章
弱い者いじめが大好きなサディストの無法者ではない、己の成り上がりしか目に入らない派閥の劣兵でもない、正しいことを正しく行える本物の魔法少女を養成する。森の音楽家が起こした悲劇は二度と起こさせない。エピゴーネンは残さず駆除する。
見解云々でいえばハルナ校長もその一人。目標が立派なだけに冷酷無慙と言い捨てるのは省くまれるものの憑融は人権侵害なんてレベルじゃない新しい形の殺人認識。思想、眼鏡、死んだ魔法少女を再現できるデータ量、スノーホワイトに好感を持っている、とキークとの共通点が多く電子の海に沈んだキークの人格が混ざったのではと思えなくもない。
キークもお嬢もフレデリカも初代もプク様も晶達も革命家思考で目標の為に犠牲を払う人物は今迄にもいたのに今回のハルナに何故格段「残酷」と感じてしまったかは、白前半の生徒達の日常や関係性が描写された分、黒から白までの間による愛着、短編や裏話や妄想で培った思い入れの強さが起因していると思う。
本物の魔法少女の養成が目標のハルナ校長は「魔法少女育成計画」のタイトルに相応しい人物であると捉えれる(フレデリカも)。正しい魔法少女を受け入れるつもりが工作員(三班)とテロリスト(二班)が入学してきたら反感を感じるのも囚人にイラつくのも納得。ミス・リールが軽視されるのは腑に落ちないけど部門の推薦枠は漏れなく派閥の権益を拡張すべく息のかかった不埒者判定なんだろうか。魔法使い達の汚さを身を持って知っているラギの「これは理念の通りにいくものではないだろう」は流石の先見の明。
生徒だけでなく先生に対して「ただ殺す、というだけならともかく」とあったり佐藤さんこと音楽家ホムンクルスを私兵にしていたり思想を考慮すると所々で違和感がある。その思想でよりにもよってクラムベリーを使うの?って違和感が。そこら辺は考え分けてるってことなのかな。
さらっと触れたけど佐藤さんの正体には心底驚きました。自分の黒の感想を読み返したら中庭に漠然とした恐怖を感じていて、この時点だと漠然とした恐怖止まりでその先が想像できないのも無理ないよなってなった。中庭の園芸家スタイルのクラムベリーのビジュアル想像すると面白さが勝る。魔法少女紹介で一人だけネタ全振り、説得、作詞、墓穴、負け犬が、ボス未認定、箱収納から未だ音沙汰なし等々音楽家は約10年前からネタが絶えない。
白 第六章
「向こうに……倒れている」
顎で示した。グィネフィリアのことだろう。
連戦、不殺縛り、片腕片眼の状態で魔王塾卒業生に勝つ実力は流石みっちゃんに勝った折り紙付きの強さ。
キミエラに黒騎士に赤ちゃんにトカゲと魔王塾卒業生って思ってたよりいるんですね。ぽっと出でも魔王塾って経歴だけで指標と脅威度が分かり易い。こういったモブ魔法少女達に対してあとがきの「キャラクター紹介にすら掲載されない彼女達にも一人一人、人生、そして魔法少女生、つまり歴史があります」は確と心に刻んだ。
白 第七章
「あなたも変わりましたねえ」
口にした直後、躓きかけた。見れば、ライトニングが足を止めている。
「変わった? 私が?」
カルコロを食い入るように見詰め、その双眸は窓から差し込む日差しを受けてきらきらと光り輝くようだった。
白 第七章
感情を表に出すことが滅多にない彼女にしては珍しく、とにかく嬉しそうだ。
ここ好き。本当に心の底から嬉しかったんだろうな。特別ななにかになりたかったのを踏まえて「私の方が正義の味方ってことになったり」「私が主人公って感じで」と非平凡ポジションを自分に当て嵌めようとしているシーン読むと心に響く。
白 第八章
ランユウィ、出ィ子、そしてプリンセス・ライトニングらに一任し、
白 第八章
彼女達が学校を担当をするのであれば心配は無用です」
ライトニングの正体判明する前から初代と三代目に複数形で初見の時はランユウィと出ィ子含んでるからだと思ってたけど、ライトニングが複数体いるから複数形だったと解釈していいなら布石の擬態性高い。恋々の矢然り後から分かる系の描写ぞくぞくする。
白 第九章
ファンシーで実用性を欠く揃いのメイド服に身を包んだ少女達がきゃあきゃあと叫びながら玄関から飛び出し、頭を抱えて逃げていく。
かわいい。約5年前の先生に質問送れる機会part2の時に「シャッフリンには様々なタイプがあるようですがメイドのシャッフリンはいますか?」って質問送ったから実際にメイド服着たシャッフリンが登場して5年越しの疑問が解決したのよかった。
白 第九章
二人の魔法少女は無数の飴玉と共に空中で交錯した。
滅茶苦茶に強い魔法少女二人を戦わせてみたいフレデリカの本意から生じた白ベストバウトの一つ。礼儀知らずとか距離感とか初めて巻頭紹介で見た時の印象と実用のギャップ感じる魔法は今迄にもあったけど三代目の魔法は特に無体だった。接触=終わりの描写はQUEENSにもあったからまだ分かるとして精神操作の無効化は七大悪魔とやり合えるのも頷ける力量。
アスモナみたいな古株で強い魔王塾生があと6人いるのわくわくする(シフィール以外現役か分からないけど)のと七大悪魔の存在考えたら魔梨華よく魔王パムの葬式で暴れられたな!?ってなる。嵐のような存在。
白 第九章
「なんにせよ、ここに居るのは駄目だ」
プシュケは「さっさと逃げよう」と続け、サリーの「教室に戻ろうねえ」が重なり、二人は顔を見合わせた。サリーは意外そうなものを見る目を向けていた。プシュケはもっとはっきりと、なにいってんだこの馬鹿、という顔で相手を見た。
傭兵魔法少女とアニメ化(予定の)魔法少女の思考回路の違いがはっきりと表れていて印象深いシーン。こういう場面で「逃げる」を選べるからプシュケは傭兵を続けてこれたのとこういう場面で「助ける」を選べるからサリーはアニメ化する可能性が生まれたのが分かる。時には媚びたり諂ったり情報収集を欠かさなかった本人の努力も加えて。
プシュケの合理性に食い込むサリーの存在いい。サリーはダーキュと美味しい絡みがあると信じて遭遇まで生き残ってほしいと思ってるけれど再起不能にされたプシュケを守りつつだと厳しそう。何気に強いカラスに期待。
白 第九章
窓に目を向けた。ガラスに反射した魔法少女がこちらを見ている。カナではない。額には四つの点、聖印が浮かび上がり、己が何者であるかを嫌味なくらい主張していた。
ついにこの時がきてしまった。黒時点からラツム説の助長材料だった名前髪色高い身体能力グリムハートに詳しい等々を念頭に置いていてもショッキング。一般生徒を守る役目を止めてる点では今迄のカナとは違う存在になってしまったように見える。でも遺物を回収しようとしている=争いの根源を断とうとしている節があるとも捉えれるのでカナの意思が完全に途絶えたとは限らない。
魔法の国を救う目的で生み出されたラツム様の魔法が本当に「質問をすれば答えがわかるよ」かどうかは疑問。グリムプクが王権神性の元ネタに沿っていたことからカナ……ではなくラツムも元ネタに沿っているのかな。意外な使用方法、拡大解釈あるかもしれない。
カナの無表情もプキン剣の影響だったのだろうか。もしプキン剣が微笑み以上のある程度の表情を縛ると仮定するとその洗脳主が白の最後に「彼女は顔いっぱいに笑みを広げた」と思いっ切り表情を変えている描写で終わってるの味わい深い。
現在のラツム様の状態の分かり易い前例が三代目で「私の中のブルーベル」を死と捉えるか否かは定義や個人の見解によるだろうけど自分としては死認識。生命の死ではなく自我同一性の死という意味での死。今時点でラツム様に彼是推察するのは早計と判断し今は惜しみつつ信じようとも思います。
白 第九章
「メイはお前をいつでも爆発させることができる。前爆発させたプキンはそれが原因で命を落とした。それが嫌ならメイのいうことに従え」
この場面でのメイ登場は滅茶苦茶頼もしい。窃視の防御策の真相がメイだとは予想だにしておらず、この手があったかと素直に驚いた。
常にスノーホワイトの傍にいたということは一緒に学校生活を送っていて、給食の時間我慢できていたの7753の鞄に入ってた時は美味しい匂いに釣られて顔出してた頃と比べて成長を感じる。給食後にトイレに行って餌付けしようにも一班は集団でトイレ行く派だからその辺の立ち回り難しかっただろうな。「メイは気が長いけど長くない」と言ってるもののこの忍耐は確かに気が長い方。
limitedの時から「アラビアの踊り子は側溝の中に潜んでいるらしい。あんな場所でよくも隠れられるものだと感心する」とあってこの頃から隠れるのは得意だったのかとしみじみした気持ち。
白 第九章
結局のところ、一対一で戦いたいと子供のように駄々をこねるライトニングに感化されたというのが一番大きいかもしれない。
「なにを笑っているの?」
「秘密や」
白で一番好きな戦闘。好きすぎてゲームも作った。この二人の関係が大好き。
上下関係が嫌いなアーデルハイトが態々頭を下げる程に感化の影響は強く、同時に自分のこともよくわからなくなりながらサービスしてやる所が情緒。漠然と特別ななにかに憧れるライトニングの目に映る魔王塾卒業生のアーデルハイトは同じ雷故か自身と比べて誰かに使われるだけの愛玩用の商品だったいくらでも代わりが利く自分とは違う特別ななにかを感じる所があったのでは。
白 第九章
「特別な……なにかには……なれなかった」
ここ叫んだ。初めて明かされる思いの内と死の流れに固唾を呑んでたらその後のとんでもない展開でもっと叫んだ。「悪いことはいわないわ。逃げなさい」って忠告が♡9と他のシャップリンセスとの違いを表していて、必殺技やクラスメイトに関心があると分かる反応や協調性や名前のミーニングやカルコロ先生も変わったといってたように、田中愛染さんはライトニング集団の中でも特異の存在だと強く思う。白読んでからプリンセス・ライトニング/田中愛染さんへの好きの質感が格段に変わり自分の中で最高に痺れる存在になりました。生き残って。
田中愛染って名前がトリプルミーニングなの凄すぎる(画像で説明) pic.twitter.com/zZ1Dd5mT86
— 藤 (@fujkta) 2022年2月20日
感想③(第十章以降~)に続く。
魔法少女育成計画「白」感想①
白 第一章
『そんなの嫌だよう』
「私だって嫌だよう。
breakdownにもジューパペ登場&人事に異動したと思わしき台詞があったものの、F2P勢が本編に登場するのはいつだって驚く。しかも人事部門の部門長と副部門長の超出世。ジューベさんこんなに茶目っ気ある人物だったの!?という衝撃もあった。みっちゃんに続き教育番組に出演してほしい人物ランキング上位者。
F2Pといえば「なんかこう最近いまいちハジケ切れてないっていうかさあ。レジスタンスも思ったほどじゃなかったしなあ」の台詞的にレジスタンスがボコボコにされたようにしか見えず、「最終回まであと数話というクライマックスで更新が謎に止まっちゃってる(柚木先生談)」の情報を踏まえると、その残り数話がエも殺戮タイムだったのか謎が残る。元副部門長のクリオも含めジューパペとエも以外のF2P勢の安否不明すぎるのでいつか連載再開すると信じて待つ。
白 第一章
ホムンクルスは耐用年数が短くもって数年
白 第一章
固有の魔法を使わせれば恐ろしい勢いで耐用年数が短くなっていくという欠陥がある。
中庭の5人は特別誂えの肉体で遺跡探索が目的のため、一概に上記ホムンクルス設定が当て嵌まるとは限らない。ただホムンクルスであることに変わりないからある程度の寿命の短さはあると思う。心抉られる。
白は生命に加えて記憶に自我に魂と死が広義になったのと中学生らしい青春を過ごして二年F組全員に思い入れが強まる中での日常の崩壊と予想外の展開に叫喚する回数が尋常じゃなかった。黒第一章時点でテティはもう別の存在って事実言葉にならない。本物のテティは短編(地獄巡り)でしか確認できないんだよな。
中庭の5人が生存か死亡済みかの解釈は「記憶や自我」って表現に魂が含まれてるか否かに掛かっているのと、「フレデリカの水晶玉は死んだ者を映し出すことはできない」は肉体(髪の毛)を媒介とする魔法だから肉体のみ死でも発動しない場合もあり得るならフレデリカの魔法が死亡判定=魂の死とは限らず、でもハルナ校長の人物観的に5人の魂度外視してそうとも思うので、願望としては遺跡探索が終わった時用に元の肉体も保存していて魂もある生存認識したいけどあまりにも願望すぎて可能性が高い方はどちらか考えるともう既にオリジナルは死と捉えてしまう。二年F組で一番瞬間的な逃走に優れている魔法の出ィ子ですら逃れられなかったのが絶望的。
白 第二章
「アーデルハイトお前滅茶苦茶話し込んでたじゃねえかよ。それで腹抱えて笑ってたじゃねえかよ。油断もクソもなく仲良くなってんじゃねえかよ」
「いやあれはちゃうねん」
アーデルハイトは顔の前でぶんぶんと右手を振り、同じように顔も振った。
「袋井魔梨華の失敗談なんて魔王塾卒業生なら食いつかんわけないんや」
白 第二章
「いやでもメピスもなんか話し込んでたやん。昨日のレクリエーションで」
「いや、あれはさ。休み時間にカナと話してた漫画をスノーホワイトも読んでるってただの雑談よ。別にそんな楽しくおしゃべりとかそういうのじゃなくて」
「傍から見たらかなり楽しそうやったで」
明るい話題に切り替えて好きな平和シーン。挿絵でアーデルハイトこんな風に爆笑するんだ!と人物観解像度高まった。bdの挿絵アンケでランキングTOP3が全部挿絵化なかったことに正直思うところはあったけどそれはさて置き白の挿絵全部良かったです。
スノーホワイトがメピスの好む漫画(バトル、ヤンキー、反社)読んでたの昔の思い出なのか元から好みだったのかブラックコーヒーと同じく精神的な変化が影響したのか何にせよあの楽しそうに会話してる二人の挿絵見ると平和感じて心温まる。サリーとも仲良く話したらしいけどアルタイルにサイン貰った話とかダーキュと直接対決した話には触れたんだろうか。
白 第二章
プシュケはぶつぶつと何事かを呟きながら学校指定の通学鞄からブルーレイを三枚取り出し、サリーは別のブルーレイ三枚を取り出してプシュケのそれと交換した。
白 第二章
「いや髪留めの括り方がちょっと乱れてたでしょ。あとリップにグロス感があってこれは唇の荒れ対策入ってんじゃないかなって思ったんだよねえ」
プシュケはふんと鼻を鳴らし、指先でフォークを回転させてから更に置いた。
「よく見てるね」
「まあねえ」
「その観察力がキモい」
そこから呪詛のように悪態が零れ出し、この分なら心配する必要もないかとサリーが密かに胸を撫で下ろした。
良い。やっぱり白の前半は関係性と平和な面が描写されてるからこそ後半の展開が心にくる。数が多すぎてどこから観たものやらと困ったらしいライトニングがサリー経由でキューティーヒーラー作品に触れようとしなかったのはプシュケに掛り切りなのを配慮したのか単にサリーが絡むと面倒だと思ったのかな。
白 第二章
出ィ子の後ろから、ごく自然に、それが当たり前のように病室に入ってきて「お久しぶり」と微笑んだ。その微笑みはランユウィの心を浮き立たせ、幸福感に浸してくれた。
お見舞い愛染さんの挿絵も良い。結果的にプリン完食したけど食いしん坊の愛染さんが誰かのために食べ物買ってくる行為自体はレアそう。後にランユウィがサリーを羨ましそうに見てたのはその自信か容姿か愛染さんと仲良さそうに話してたからと解釈。愛染さんは愛染さんで退院の報告に顔をほころばせてるの好き。出ィ子の人物評でいう思いを隠すことが不自由と考える愛染さんのその時の反応はランユウィが戻ってくるのが素直に嬉しいって感情ではないかと。初期のライトニングだったら同じようなリアクションは取らなかったのでは。
プリンセス・ライトニング/田中愛染という人物について - マジカル自分用メモ
黒(~第六章まで)のライトニングと白のライトニングは別個体か同個体か - マジカル自分用メモ
田中愛染さん考察は二記事に書くくらい長くなったから考察方面は省略。
白 第三章
一つしかない椅子の周りを三人の少女が歩き出す。フルーツゼリーを賭けた椅子取りゲームの始まりだ。
ほっこり平和日常。学校で遺物を巡って三勢力が争う展開の暗喩とも捉えれる。こういうシーン読んでると林間学校とか修学旅行とか二年F組の平和妄想したくなる。創立祭が無事に開催して美味しいラーメンと皆で頑張ったオブジェに飾り付けと個性豊かなスタッフ達が一般生徒達の心鷲掴みにしてお客さんに混ざって食べたがる愛染さんになんでやねんって漫才始まって最後にお揃いのクラスTシャツ来た皆で写真撮って掛け替えのない思い出になる未来あってほしかった。
白 第三章
地下の研究所では、これから犠牲になる魔法少女の声を聞きながら、それを無視した。あの時のスノーホワイトは終始そんなことをしていた。
そこではインフェルノから思いを託された。N市ではハードゴア・アリスに彼女が誇らしく思う魔法少女であり続けることを誓った。ラ・ピュセルが命を落とした時の気持ちを忘れることは絶対ないだろう。
スノーホワイト、これらの思いを「彼女達から渡されたバトンを持っている限り、スノーホワイトは歯を食い縛って前進しなければならない」とバトン認識で前進し続けるつもりなのに、次巻でスノーさんの物語の終わりなのを考慮するとバトンをゴールまで運びきれるかゴールとは何を指すかリップルと生存できるか祈りが増す。生存組が死者に触れる描写にはいつも心揺るがされる中、リップルのトップスピード然り始まりのレジェンドだけあって無印勢の名前が挙がると特にくるものがある。
白 第三章
プフレは全ての条件をクリアしている唯一無二の協力者だったが、プク・プックが起こした事件の中で生命を落とした。奇跡のような立ち回りでシャドウゲールを護った、とラズリーヌは驚いたが、師匠にいわせれば、情緒と感情を重んじたせいで志半ばで果てることになった、となるのだろう。
この「シャドウゲールを護った」の一文声出た。レーテ様ですら駒として利用としてあまつさえプク様倒して救い出した知性と協力と努力と何よりも護が最優先のお嬢が成し遂げたことの凄まじさが他の誰でもない三代目に「奇跡のような立ち回り」と表現されるのが良い。
キャンディーに影響されて心や行動を乱したことが一度もない三代目ですら影響を及ぼすプフレの感情の強さ濃さたるや、「非常に面倒臭く、ややこしく、鬱陶しい」と言い表されてシャドウゲールを思い自然と笑みが浮かんでお嬢の客観的且つ主観的でもある読み取りには人物観がより鮮明になった。三代目の魔法だからこそ。
QUEENSエピローグの「痛い目を見ますから」は初代が見抜きの魔法であることを踏まえるといつか三代目は内なる感情が働きかけて生死に関わる気がしてならない。
白 第四章
ホムンクルス事件の時、カルコロは積極的に生徒達を守りにいった。動機はといえば、当然自己保身だ。
白 第四章
先日山の中でカルコロがとった行動は、客観的に見ればフィクションの中の教師そのものだったのではないか。
確かに、あの行動はカルコロに満足感を与えた気がする。そして立派な教師であれば、ここですべき行動はなんなのか。カルコロはわかっているはずだ。だが考えが纏まらない。
白 第四章
上手く言い表せない気持ちがある。
大半の生徒達に軽んじられて(呼び捨て、頼りない、やる気がない)、でもカルコロ先生は教師にされた人物で授業内容も制限されてそんな環境で授業内容に笑い所を作ったり何やかんやで生徒達を見ていたりあの夜の行動は間違いなく迅速かつ的確でそれを薄っすら自覚していたのはよかった。先生は凄い。
魔法使いの肉体だから憑融を免れる、犯罪学に詳しいからグリムハートを避けられた、スノーホワイトに同情されて教師の座は保たれた、息抜きに窓の外を眺めていたからいち早く襲撃者に気付き攻撃できた等々かなり紙一重なシーンが多い。魔法使いと魔法少女の両方の才能持ちだからこそできる高速詠唱術は波紋とスタンドを両方使えるジョセフみたいでかっこいい。黒で足動かして珍しく叫んでた先生とプシュケが白で足と頭部を怪我したの嫌な巡り。
白 第四章
「特別進学コースの人……ですよね」
一人ではない。眼鏡の女子の後ろに男子二名、女子二名、合計五名の生徒達が、年頃の好奇心をいっぱいに湛えた表情をカナに向けていた。
モブ基一般人が魔法少女及び人間態に惹かれる展開が大好き故、梅見崎生徒でよく妄想していたらそれがはっきりと描写され具現化しネームドまで登場して絹乃宮さんの時と同じく湧き立ちまくった心が。
女性同士の関係性を際立たせる手段として男性を世界から徹底的に排除するのは好きじゃないので、こういったシーンで男子も登場してるのは嬉しい。性別問わず皆心奪われて欲しい。
白 第四章
なにも見てない目で、なんの役にも立たないものを作っている。
ひょっとしたら彼女にとってなんの役にも立たないものではないのかもしれないが、シャドウゲールが説明してくれない以上「チューブやコードが滅茶苦茶に絡んでいて無暗に光る複数のメーターがなにを表しているのかもわからない数値を示している機械なんだが前衛芸術なんだかよくわからないもの」でしかない。少なくともデリュージにとってはそれ以上のものではない。
ファルを呼び出す装置だったりしないかな。restartの時のなにかあればヘルプボタンを押してファルを呼ぶか細い記憶を頼りに。実際黒で作業中にファルの声が一瞬聞こえた気がした描写があったし。赤までにファルが復活するビジョンを思い浮かべるにはこの可能性しか頼れない。
白 第四章
ふと振り返ると唇が触れそうな距離にリップルの顔があった。
驚いて声をあげて跳び退ったが、リップルは距離を維持してルール追随し、胸倉を掴んだ。
白 第四章
さり気なく自分の胸に左手を当てた。まだ少し脈が速い。さっきのリップルには、本当に心臓が止まるかと思うくらいどきどきした。
同性の距離の近さとドキドキする描写が好きと再認識した。スノーホワイトを大事に思ってるあのリップルが学級側を任せる程にスノリプの関係がルールーの信頼に重なってるのが熱い。二人とも父親がいた頃の記憶(精神に影響)が魔法に起因している可能性が高いコンビ。
リップルの「だがトップスピードはもういない。ルールーと話している間に思い出した」って地の文、自分が死んだように生きてたから相棒の死の実感湧かず、それがルールーの存在によって生きる上での苦しみ以外の感情がこの会話の最中に生まれて死を再認識するくらい生の側に戻ったと伝わり印象深い。
白 第五章
悪いやつではない、むしろ可愛げはあるが、突飛な行動のせいで目を離していられない同居人、というのが今のメピスにとってのカナ評だ。最も相応しい言葉を選ぶとすれば「妹分」というところだろうか。とにかく世話がかかるのがそれっぽい。
白 第五章
メピスは他人が思っているほど感情だけで生きているわけではない。深く思い悩むこともあるし、しっかりと反省することもある。ただ感情を制御仕切れないことがままあるというだけだ。
メピスに対する黒で受けた喧嘩っ早いヤンキー面での印象が実際は思っていたより理性的で自分を客観視できてたのと「己を殺す(作中表現)」ことを厭わずでも任務だからで完全に割り切れない二年F組への思い入れとテティへの後悔が結果的に言葉通りの「己を殺す」中庭に繋がってしまったことや、洗脳状態でも本来抱くはずだったこと(カナへの心配、アーデルハイトは話せば分かり合えるのでは、今殴り飛ばしたのは仲間だったのでは等)を我に返って考えたり常に強気でいる理由も含めてそれだけ心遣いが強く、リアル中学生でそれらの思考と性格の持ち主であることも加味してメピスは白で大分見解が深まった。ちゃんと手洗いうがいをしてご飯を食べる時は手を合わせていただきますと言う描写だけでも普段と比べた佐山楓子の根の部分が窺える。
カナとメピスの同居生活、もっともっと続いてほしかった。
感想②(第六章以降~)に続く。
黒(~第六章まで)のライトニングと白のライトニングは別個体か同個体か
黒 p.195
ライトニングは吹っ飛び、バウンドし、グラウンド端の茂みに飲み込まれ、葉や枝を巻き散らしネットを揺らした。
黒 p.196
「物理的な衝撃も吸収できるのね」
ライトニングだ。アーデルハイトは下がろうとした足を引き留め、身構えた。
微笑んでいる。太鼓を背負っている。血が流れていない。コメカミも綺麗なままだ。気絶していないというのは百歩譲って納得するにしても、怪我が治っているというのはどういうことなのか。
議題は黒第六章でライトニングが別の個体(♡9)と入れ替わったか、或いは戦闘の時だけ別個体で一貫して♡9だったのか、第六章以前の出来事に触れている描写、合点がいく描写、「潜入後に勝手な動きを見せるようになった」のは最初から「特別ななにか」になりたい憧れ(決定版にあるまじき想定外の自我)を持っていたのかクラスメイトとの触れ合いで成長したのか自分の代わりはいくらでもいる記憶を失ったのが機転か等々について考える。
まず怪我だけでなく戦闘中に外れたはずの太鼓まで元通りなのは単純な治癒では説明がつかず、茂みに吹き飛ばされたライトニングと待機していたライトニングが入れ替わったとしたら納得できる。でも特定のポイントに吹き飛ばされないと成立しないので負けるのが想定外だと紙一重すぎるような気がしなくもない。
ライトニング=ジョーカーがもし存在するなら遠隔で復活した可能性もある。ただ魔法のポテンシャル的に、
ボルケーノ(没)(今見るとこの人が白の襲撃者ポジションになる予定だったのが分かる)も加えて作中のネームドプリンセスは全員「2」なのに対しライトニングだけ「4」。ジョーカーがいるシャッフリンは「5」でいないシャッフリンⅡは「4」と数字的にはシャップリンセスにジョーカーが存在しないように一見思える。決定版故に下位ナンバーが存在しないとか燃費の悪さ差し引いてるとかだと話は変わるけど。一つの可能性としてジョーカー説も一応念頭に置く。
吹き飛ばされた方が死亡ではなく朝まで気絶コースだった場合は立ち去った時だけ別個体で他場面は一貫して♡9という解釈も可。
「本来であればね、私とランユウィアンド出ィ子。この二方面から魔法少女学級に関わる予定だったんだけど……あなた達は探索で、私は主に妨害工作で」
「それは、つまり……夜中にアーデルハイトと戦ってたやつっすか」
訊きながら出ィ子の方をちらと見た。特に反応はない。訊いてはまずいことではなかったようだ。ライトニングは眉根に少々の皺を寄せてスプーンを口元へ運んだ。
「そう、あれもその一つね」
一班にアイテムを貸し出して支援し、二班に向かわせていたのも、今思えばその種の活動だったのだろう。
「気まずいと思うやろ普通は」
「どうして?」
「夜の学校でバチバチやりあったやん」
「そうだったかしら」
「ライトニングの頭ぶん殴ってノックアウトしたやん」
「私の記憶にはないけど」
「殴られたせいで記憶飛んだか」
「確かに夜の学校であなたと会った日はあったけど。あの時の私は元気いっぱいで学校から出ていったでしょう」
ほら、私は一度アーデルハイトにしてやられたでしょう。正直、強さの序列とかどうでもよかったんだけど、いざ負けてみるとこれが案外悔しくて。
「以前敗れた相手……まあ私はあんまり負けたと思っていないけど、敗れた相手とホムンクルス戦では協力して、そして今日また一対一で戦って、勝利する。メピスが持ってくる漫画みたいだと思わない? 私が主人公って感じで」
入れ替わったとしたら黒第六章以前の出来事に触れているのに違和感が生まれるが、これは情報共有していたで済む話。
アーデルハイトとの会話はピンポイントで記憶が改竄されているように見えたけど、別場面で負けを認めているため単に意地になっている会話とも捉えれる。
決定版だったはずのプリンセス・ライトニングが、魔法少女学級潜入後に勝手な動きを見せるようになった。
学級活動には大した興味もなく、達観しているというか浮世離れしているというか、とにかく冷めている生徒という印象は、ここにきて大きく変化していた。
これはカルコロに見る目がなかったというより、ライトニングが変わったのだろう。どれだけ大人びているようでもまだ中学生なのだから、クラスメイトと触れ合う中で成長していくのは当然だ。むしろあるべき姿だ。
「特別な……なにかには……なれなかった」
♡9には明らかに三代目が想定していなかった自我が生まれており、病室での会話で妨害工作が命令通りであることは語られているので、「勝手な動き」が指すのは創立祭を開催させようと頑張ってた所とかが含まれると思う。理由は創立祭が楽しそうでやってみなきゃわからないから。アーデルハイトに感化されて必殺技を言っていたのも同じく「楽しそう」。テティの表現で言う所の欲望に忠実。
ラズリーヌ陣営にも拘わらず田中愛染さん(♡9)が勝手な動きをするようになった解釈はいくつか分かれる。
・元々他集団とは違う意思を持った存在、若しくはライトニング集団全員が平凡嫌い。
・学校生活、クラスメイトとの触れ合いで変化が生じてランユウィの退院に喜んだり露骨に怒ったり嬉しがったり悔しがったり協調性を持つようになった(カルコロ先生と同じ見解)
・スノーホワイト転校後に記憶を失って自分はシャップリンセスではない=代わりが利く存在ではないと認識が変わったから
上記のどれであっても一ついえるのは、新たに現れたライトニングの「あら、こんにちは」の涼しげな態度的には大差感じないけど、「早く逃げなさい」は明確に他集団と違う意思なので♡9が特異の存在という認識は変わらない。
「あなたも変わりましたねえ」
口にした直後、躓きかけた。見れば、ライトニングが足を止めている。
「変わった? 私が?」
カルコロを食い入るように見詰め、その双眸は窓から差し込む目差しを受けてきらきらと光り輝くようだった。カルコロはこれ以上ないくらい気圧されながら「いえ別にそんな大した意味では」と言い訳し「とにかく足を動かしましょう」と誤魔化した。
ライトニングは誤魔化されてくれなかった。足を動かしながらも口は止めない。
「変わったってどんな風に? いつ頃から変わったように思ったの? いい意味での話よね? 悪い感じではなかったし。どんな理由で変わったと思ったの?」
矢継ぎ早に質問を繰り出してくる。感情を表に出すことが滅多にない彼女にしては珍しく、とにかく嬉しそうだ。
そして、それらを踏まえて読むこのシーンが大好き。特別ななにかになりたかったからこそ変わったと言ってもらえたのが本当に心の底から嬉しかったんだろうな。「正義の味方」「主人公」と非平凡ポジションを自分に当て嵌めようとしていた時点でその節は出ていた。
「いつ頃から変わったように思ったの?」が重要な点で、本人に変わるタイミングがあったのを自覚しているのがこの台詞で分かる。黒第六章以降(正体に関する記憶を失っているためあくまでぼんやり)、触れ合いでの変化、記憶を失った所等のどこかで。
まとめると黒第六章で入れ替わった可能性は高いが、同個体の線もまだ残っており、現段階で断言できる程の情報は揃ってない。
もし入れ替わってるとして潜入後に勝手な動きを見せるようになったら「入れ替わったから勝手が変わった」と考えるのでは?とも思うけど、それだけ普通なら入れ替わっても大差ないくらい同一の存在とも言えて、結論として丁度良い塩梅の両方の線を残す形で書き留める。ライトニングが何らかの要素を加えられたハイブリット的存在って予想まではしてたのにそこにシャッフリンって可能性は1ミリも考えてなくて度肝抜いた経験を活かして出来るだけ可能性を見据えた形で締めます。終わり。
雷将アーデルハイトVSプリンセス・ライトニング
■現在非公開
雷将アーデルハイトとプリンセス・ライトニングが戦うゲームです。
■スマホでプレイする際は下記リンクから
https://plicy.net/GameSPPlay/××××××
※魔法少女育成計画「白」の内容を含みます。
※戦闘コマンド画面の横キーで防御選択可
以下素材をお借りしたサイト。
・BGM・SE素材
[近未来的音楽素材屋3104式]
[効果音ラボ]
[OtoLogic]
[ユウラボ8bitサウンド工房]
・背景素材
[きまぐれアフター背景素材置き場]
プリンセス・ライトニングについて
出力したい感情、咀嚼する描写が沢山ですがといった前置きや導入は省き、先んじて白第十章のライトニングの衝撃の真実について。まほいく白読んでて一番驚いた内容、そう言い切る程にライトニングが「プリンセス」×「シャッフリン」のハイブリッド人造魔法少女だった事実が衝撃だった。
「気まずいと思うやろ普通は」
「どうして?」
「夜の学校でバチバチやりあったやん」
「そうだったかしら」
「ライトニングの頭ぶん殴ってノックアウトしたやん」
「私の記憶にはないけど」
単純に忘れたふりをしているか記憶が抜き取られた影響かは、後の出ィ子とランユウィとの会話で負けを認めているので前者の線が濃厚。後者だとダメージをくらった直後の記憶は自分の正体に関わる情報だったから意図的に抜き取られていたとも解釈できる。
同個体説を支持するとしたら決定版たる特殊な回復機能若しくはジョーカー的な存在が別にいてハートの9であるライトニングは遠隔からの魔力補給で復活した可能性もあるかもしれない。入れ替わり説も捨てきれない。
決定版だったはずのプリンセス・ライトニングが、魔法少女学級潜入後に勝手な動きを見せるようになった。
♥9ライトニングは以前と違い協調性を持ち始め、カルコロ先生の「あなたも変わりましたねえ」という台詞と前後の地の文からも分かるようにストレートな変化が読み取れる。ランユウィ退院とテティとメピス和解時のようにクラスメイトに関心があると分かる描写も含めて。
これを学級潜入後の感化と自身の意思による変化(によって生じた他集団とは違う個体差、記憶の有無の影響)と見ていて、更に主張したいのは♥9ライトニングは他のライトニング達と明確に違う点があること。
「変わったってどんな風に?いつ頃から変わったように思ったの?いい意味での話よね?悪い感じではなかったし。どんな理由で変わったと思ったの?」
矢継ぎ早に質問を繰り出してくる。感情を表に出すことが滅多にない彼女にしては珍しく、とにかく嬉しそうだ。
「特別な……なにかには……なれなかった」
ここの台詞、アーデルハイトに影響受けてオリジナルの必殺技ばんばん繰り出したり「悪いことはいわないわ。早く逃げなさい」と別のライトニングから逃げるように気遣い忠告しているのはシャップリンセスの初期搭載個性ではなくアーデルハイトの必殺技を聞いた、学校生活を過ごした♥9ライトニング特有の個性と感情由来の行動だと思う。
彼女は文字通りの商品だった。倫理観を狂わせた魔法使いが生み出したデザイナーチルドレン──ただただ美しくあればいいという目的で開発された愛玩用の人間だ。
出自情報も衝撃。しかも"不適合"。この美しさで不適合。
元々は愛玩用の商品で、平凡なことが嫌いで、そんな出自だからこそ「特別ななにかになりたかった」と今際に語っているのが心に刺さった。誰かに使われるだけの商品だったライトニングがラズリーヌの命令でもなくただ創立祭を楽しもうと努力する直向きな心はもう一人間としての立派な個と変わりない。
「口に入れて……」
「あれやろ。本当はもうちょっと余裕あるやろ」
戦闘後のこの状況でも漫才が発生するのアデライすぎて笑いはしたものの、♥9ライトニングがこのまま息絶えてしまうのか心配。心配でいえばプシュケが、あの5人が、ランユウィ、今回はライトニングに的を絞った感想のみと決めているのでまた別の場所で諸々感想書く。
今日の給食はローテンション的に揚げパンが出るに違いないと力説しているプリンセス・ライトニング
「ごめんなさい。食べないみたいだから必要ないのかと思って」
「給食の話はした?」
飲食物を扱うべからずという一文にはプリンセス・ライトニングが平手で机をバシンと叩いた。
「どうせならラーメンの匂いもあれば素敵じゃない?」
「ねえ、良いこと思いついちゃった。ラーメンの匂いが難しいならバニラアイスの匂いならどう? たぶんラーメンの匂いよりも簡単だろうし、これなら洗濯物に移っても問題ないでしょう? 柔軟剤の匂いでそういうのもあるから」
笑った所。めちゃくちゃ笑った。ライトニングずっと面白すぎると笑っていた後での上記情報量で痺れっぱなし。
「プリンセス・ライトニングがいっぱいいるの最高!」って感情と「出自と特別ななにかになりたい願いを汲み取ればいっぱいいるの最高って安易に言うのは違うでしょ。絶対違う。解釈違いもいいとこだねえ」って舌打ち感情が鬩ぎ合う。
大きな憶測を残したまま人物評を書き連ねたくないのでまた赤の機会に。漠然と特別ななにかに憧れを持つライトニングの目に映る魔王塾卒業生のアーデルハイトは雷共通点があるが故に自身と比べて自分とは違う"特別ななにか"と感じたのではないか、という矢印考察も含めて。白、最初に書いた通り出力したい感情、咀嚼する描写が多い。